厚労省424病院「実名公表」の深刻な余波 地方の医師不足に拍車「採用辞退」も (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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厚労省424病院「実名公表」の深刻な余波 地方の医師不足に拍車「採用辞退」も

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厚労省は診療実績が乏しいなどとして、424病院に再編の検討を求めた。が、その中には国立病院機構の30病院が含まれていた(撮影/写真部・松永卓也)

厚労省は診療実績が乏しいなどとして、424病院に再編の検討を求めた。が、その中には国立病院機構の30病院が含まれていた(撮影/写真部・松永卓也)

国立病院機構経常収支(AERA 2019年11月4日号より)

国立病院機構経常収支(AERA 2019年11月4日号より)

 厚生労働省は9月末、診療実績が乏しいなどと判断した全国の公立・公的病院、424病院を公表した。統廃合も含め、再編の検討を求めるという。だが、地方の病院が苦しんでいるのは医師不足だ。AERA 2019年11月4日号に掲載された記事を紹介する。

【国立病院機構経常収支はこちら】

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 医療のニーズはある。ベッドは余っているわけではなく、医師が足りないため稼働できないだけだ。それが地方にある多くの病院の実情だろう。

 福島県の南相馬市立総合病院は、昨年から透析患者の診療を始めた。南相馬市と隣接する相馬市では、医師不足により、透析患者全員を診療することができなくなった。車で片道1時間以上かけ市外の病院へ通う患者が40人以上出ており、この窮状を見かねての決断だった。

 担当医は透析診療の経験がない30代の内科医だ。院長の及川友好医師(59)はこう語る。

「専門医がいないが、透析患者を受け入れるべきと考えた。民間病院ができないことをするのが、公立病院の使命です」

 同院では、福島県立医科大学附属病院の専門医と情報を共有し指示を仰ぐオンライン診療の体制を整え、緊急時にはドクターヘリで大学病院に搬送できるバックアップ体制もつくった。だが、現場は常にギリギリだ。

「担当医は内科に加えて、透析患者も1人で診ている。休みも取りにくく負担が大きい」(及川医師)

 病床230床に対して常勤医が20人いるが、「救急もあるため、本来なら医師は40人は必要」(同)。医師の努力と熱意だけでは、いずれ立ち行かなくなることは目に見えている。

 地方での医師不足は深刻だ。冒頭のように医師や看護師が足りない診療科の人員を確保するため、病院の職員同士で出向しあったり、オンライン診療を利用したりする病院も増えた。

 そんななか、9月末に厚生労働省が発表した病院リストが医療関係者に衝撃を与えている。診療実績を9項目で評価し、診療実績が少ない、または近くに似た機能を持つ病院がある424の公立・公的病院の実名をあげたのだ。公立病院とは都道府県や市町村など自治体が運営する病院で、公的病院とは旧国立病院や日本赤十字社などが運営する病院を指す。「424」という数字は、全公立・公的病院数の25%超にあたる。団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、20年9月までに過剰とされる病床数を削減、縮小や統合を促すのがねらいだ。


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