──次の総選挙は政権選択の選挙です。和子さんの目から見て枝野幸男さんは「総理の器」だと思われますか?

 民主党時代に夫が代表選に手を挙げたことがありました。私も党員の方に電話で支持をお願いしたのですが、あまり感触がよくなかったんです。夫は人情が薄いわけではないのですが、どんな局面でも至って冷静で論理的。人格否定ともとれる言葉をなげつけられても全く傷つかないし、落ち込みません。だから官房長官のようにトップを支える参謀役なのかなと思っていました。けれども立憲民主党をひとりで立ち上げたとき、初めて、ああトップにもなれるんだ、と思いましたね。

──立ち上げの頃の枝野さんはどんな様子でしたか。

 夫が所属していた民進党が小池百合子さん率いる「希望の党」に合流するとか、一部の議員を「排除」するとかの騒動になっていた時、結婚して初めて夫に怒鳴られたことがあります。あの時は夫も家にはほとんど帰れず、帰ってきてもゆっくり事情を話してもらう時間がありませんでした。私が世間の見方そのままに「なんか騙されちゃったみたいで可哀想ね」と言った瞬間、「誰がそんなことを言っているんだ」と激怒したんです。

 この時、すでに夫の中では党を出て、1人で無所属でも選挙に出る決意を固めていました。無所属となると選挙活動の費用はすべて自己負担です。家計を預かる身としては厳しかったですが、1人で新党を立ち上げた夫には拍手を送りたい気持ちでした。そして、その新党に参加してくださった仲間の皆さんの心意気に、私はテレビの前でひとりで泣いていました。

──枝野さんが総理になるために欠けているものは?

 女性人気です(笑)。いい意味でオジサンですから。だから、そこは私の出番だと思っています。仮にそんな日が来たら、先輩の鳩山幸さんや菅伸子さんにも教わりながら、子どもの貧困やジェンダーの問題にも声をあげたいと思っています。

(編集部・中原一歩)

AERA 2019年10月28日号