各大学の運用に対する姿勢は、それぞれのグループが置かれている経営環境にも影響される。

 例えば日東駒専は成長性の高さが目立つ。受験生を奪い合うライバル同士だけに、都心のキャンパスなどへの積極的な投資教育環境の充実を図り、学生を呼び込もうとしていることがわかる。本拠は同じ東京でも、ブランド力で勝るGMARCHと比べると成長投資に熱心なのは明らかで、競争環境の厳しさがわかる。

 そのGMARCHは、6大学で比べた中での各指標のトップが割れた。規模(売上高)の明治、ROE(収益性)の立教、健全性(自己資本比率)の学習院、成長性(基本金組入率)の法政、純資産増減率と資産運用力の青山学院。立地、知名度といった条件に恵まれる中、経営の実力も伯仲している。

 専修大学商学部の小藤康夫教授は言う。

「今回分析した大学は、現状では十分に安定した経営をしていると言える。ただ、10年後にはこの中からも、厳しい経営状態の大学が出るかもしれない。経営指標に注目しておく必要があるのです」

(編集部・小田健司、上栗崇)

AERA 2019年10月21日号より抜粋