香港デモ100日「香港人」の胸中は…作家・星野博美が現地レポ (2/5) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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香港デモ100日「香港人」の胸中は…作家・星野博美が現地レポ

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9月15日、警察が許可しなかったにもかかわらず数十万の市民が再び和理非デモに繰り出した。その後は勇武派と警察が衝突、複数の地下鉄駅が破壊され、親政府派との乱闘も起きた (c)朝日新聞社

9月15日、警察が許可しなかったにもかかわらず数十万の市民が再び和理非デモに繰り出した。その後は勇武派と警察が衝突、複数の地下鉄駅が破壊され、親政府派との乱闘も起きた (c)朝日新聞社

全身黒ずくめの勇武派。SNSを使いこなす彼らは宣伝戦略に長け、警察との戦闘を通して進化し続けている。ビジュアルのカッコよさに惹かれる人は少なくない (c)朝日新聞社

全身黒ずくめの勇武派。SNSを使いこなす彼らは宣伝戦略に長け、警察との戦闘を通して進化し続けている。ビジュアルのカッコよさに惹かれる人は少なくない (c)朝日新聞社

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●無職のAさん(50代男性)

 和理非のデモはすべて参加した。車で援助物資を運んだこともある。雨傘運動の失敗から、平和的な抗議では何も変えられないことを学習した。だから勇武派が登場した。自己を犠牲にして戦う彼らの覚悟には心底敬服する。破壊行為? まったく許容範囲。警察のほうがよほど暴力的。警察が過剰反応するから、彼らは破壊に走るんだ。

 街から中国人の姿が消えて、せいせいしている。中国人がいなかった頃の香港に戻りたい。経済の衰退? 香港の命運がかかっている時に、飯の心配をするのは自分勝手。経済が悪くなっても仕方ない。多少の代償は必要だ。

 藍色(親政府側)の人たちは中国に洗脳されている。まだ目が覚めないのか? これまで香港は、他人には無関心、誰も助けてくれない冷たい社会だった。でも一連の抗議が始まって、連帯、自発的行動、助けあい、自己犠牲など美しい場面をたくさん見た。彼らが香港の将来を担うと思うと頼もしい。本当に革命を起こせそうな気がする。自分が求めるのはまさに<光復香港 時代革命>(香港を取り戻せ 革命を起こそう)。どこかに移民することは考え始めている。

●大学非常勤講師のSさん(50代女性)

 教師とソーシャルワーカーによる小規模デモに一度だけ行った。夫は藍色(親政府側)、カナダ帰りの娘は黄色(抗議者側)、私は中間。娘は時々デモに行っている。自分で責任を取るならと黙認しているけど、空港封鎖に参加して捕まりかけ、怖い思いをしたらしい。社会が極端に二分化して、家族や友人関係が分断されたのは深刻な問題。

 この3カ月間、心に大きなしこりがある。7月21日の元朗襲撃が大きな転換点だった。中国の息がかかった有力者の一声で、地元の黒社会が出動した。あれが暴力の応酬の始まり。香港は暴力が支配する街になってしまった。

 香港は大陸から1日150人の移民を受け入れている。行政長官は「香港が嫌なら出て行け。1人去れば3人やって来る」と言う。元々ここに住む私たちがなぜ出て行かなければならないの? 香港市民に背を向ける行政長官に対して、納税者ははっきりNoと言わなければならない。でも政府は、白色テロで事態を収拾しようとしている。


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