今の若者はすごい。記者会見やスピーチを聞くたび、ほれぼれする。彼らは世界中の人と瞬時につながり、あっという間に寄付を集め、宣伝も得意で進化し続ける有能な世代。彼らを応援しなかったら、大人として情けない。自由と民主を求める香港の価値観は、どうしても中国と相容れない。独立は不可能ではないと思う。

 警察車両を見かけると、「黒社会!」「犬!」とつい叫んでしまう。そんな人間じゃなかったのに、今ではそうしないと気が済まない。万一の場合は日本に住むことを考えている。

●大学生のOさん(20代男性)

 学生は暇だからデモに行く、夏休みが終われば学校に戻るだろう、と言われるのが悔しくて、授業のボイコットを呼びかけています。中国のように、香港でも少しずつ自由が減っていく。政府に自分たちの声を届けるため、あらゆる手段を試しているところ。学生の反応は……まあまあ。大学側は配慮してくれています。

 デモには何度も参加していますが、前線に行ったことも催涙弾を浴びたこともない。リーダーなき運動だから、驚くほどいろんな人がいる。考えも手段も異なるから、違法行為をする人がいても他人には止められないんです。各自が決めるしかない。僕のポリシーは和理非を通すこと。

 五つの要求を通すのは、本音を言えば不可能でしょう。一つだけ選ぶとしたら、僕は普通選挙の実現を採る。香港市民のために働くトップを選べないのがすべての原因。ここから変えていくしかない。香港独立、革命だけは言っちゃいけない。それを主張したら、香港は終わります。

病院勤務のTさん(50代女性)

 こういう話はもう、食堂やバスの車内ではできない。いつ誰に殴られるかわからないから。言論の自由を求める彼らに、自由を奪われたよ。

 逃亡犯条例改正案には反対だし、政府に間違いが多いのも確か。でも抗議者たちは完全に一線を越えた。このままだと香港は本当に死ぬ。労働者、小さな商売人から倒れていく。破壊、無賃乗車、地下鉄の遅延、それらは市民の肩にのしかかる。自分の自由と権利は認めろ、おまえのは認めない、と主張しているのと同じ。

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