松坂:そう。「ショックで叫ぶときの声は、エヴァ初号機が胸を貫かれたときの碇シンジの感じです」とか。わかる。けど、やるのはめっちゃ難しい!(笑)

北村:僕もこれまで見てきたアニメの引き出しを開けながらやりました。「ガンダム」や大友克洋さんの「AKIRA」、今敏さんの「パプリカ」や押井守さんの「攻殻機動隊」……。アニメという共通言語で監督やプロデューサーとつながれたのは心強かったです。

松坂:97年生まれだと「ガンダム」はどのあたり?

北村:僕は79年の「ファーストガンダム」(機動戦士ガンダム)から見てまして、85年の「Ζ(ゼータ)ガンダム」が一番好きです。従弟の影響もあってVHSで見たり。それから小学生の頃から、細田守さんの作品は必ず映画館に見に行っていました。

松坂:僕はアニメ専門チャンネルで「あしたのジョー」「キャプテン」「らんま1/2」あたりから入ったなあ。

北村:「君の名は。」以降、アニメを取り巻くムードが一気に加速した感じがあって、アニメファンとしてうれしいです。

松坂:本当に。これまでアニメに触れなかったような方たちからも「見に行こうかな」って声を聞いたりする。

北村:同世代の役者も声優をやっていますし。「きみと、波にのれたら」の伊藤健太郎や「二ノ国」の新田真剣佑とか。声が評価されるって嬉しいですよね。

松坂:いつか自分に子どもができたときのために「ドラえもん」には出てみたいなあ。

北村:僕はもっとコアな分野にハマっていきたい気持ちもあります。今後もアニメやゲームなど自分がこれまで見てきた分野に全部挑戦してみたい。

松坂:僕、ゲームの「ドラクエ」に声で参加させてもらったことがあるんです(「ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城」)。「ダメージを大・中・小と受けたときの声を3パターンください」と言われて「え? 中ダメージの声ってどういうの!?」って(笑)。難しかったけど出来上がってプレイしてみると「おお!」と。なんともいえないロマンがあった。

北村:「龍が如く」のようにゲームに実在の役者がそのまま出ることもありますからね。僕もゲームに描かれるような役者になって、自分で声をあててみたい。それが夢かな。

(フリーランス記者・中村千晶)

AERA 2019年9月16日号