松坂桃李(まつざか・とおり、右):1988年、神奈川県生まれ。2019年の主演映画に「居眠り磐音」「新聞記者」。公開待機作に「蜜蜂と遠雷」(10月4日公開予定)がある/北村匠海(きたむら・たくみ):1997年、東京都生まれ。公開待機作に映画「影踏み」(11月15日公開予定)がある。また写真集『U&I』(KADOKAWA)が9月26日に発売される(撮影/山本倫子)
松坂桃李(まつざか・とおり、右):1988年、神奈川県生まれ。2019年の主演映画に「居眠り磐音」「新聞記者」。公開待機作に「蜜蜂と遠雷」(10月4日公開予定)がある/北村匠海(きたむら・たくみ):1997年、東京都生まれ。公開待機作に映画「影踏み」(11月15日公開予定)がある。また写真集『U&I』(KADOKAWA)が9月26日に発売される(撮影/山本倫子)

 9月20日に公開予定のアニメ映画「HELLO WORLD」で、声優として約3年ぶりの共演を果たした松坂桃李と北村匠海。アニメ好きの二人は今回の対談で、子ども時代に夢中になったアニメの話で盛り上がった。AERA 2019年9月16日号に掲載された記事を紹介する。

*  *  *

 アニメ映画「HELLO WORLD」の舞台は近未来の京都。内気な高校生・直実(北村匠海)の前に10年後の未来から来た自分=ナオミ(松坂桃李)が現れ、3カ月後に直実の恋人になる女性が事故によって命を落としてしまうと知らされ、彼女を救うために奔走する。

北村匠海(以下、北村):僕は昔からアニメが好きで、特にSFが大好きなんです。だからこの作品に参加できたことが本当にうれしくて。

松坂桃李(以下、松坂):時空を飛び越えたり、映画「マトリックス」のようにいま自分のいる世界が崩れていく感じがあったりと、ロマンが詰まってるよね。

北村:設定を少し複雑に感じる人もいるかもしれないけど、まずは純粋で一途な少年・直実の背中を追ってほしいです。この映画の世界観をたとえるなら「時をかける少女」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」かな。

松坂:たしかに直実とナオミが師弟のようになって「なんとかしよう!」とコンビを組む感じ、マーティとドクに近いかも。

北村:僕は声優初挑戦でしたが、本当に難しかったです! 声の演技って普段どおりにやると、単調になってしまう。特に叫び声が難しかった。一日中「うわああああ」とかやってると壊れそうになってくる。

松坂:体力使うよね。

北村:声にはすごい情報量がある。俳優の仕事に役立つ気づきがたくさんありました。なにより松坂さんの声がカッコよすぎて。僕にはない心地よいlow(低音)の響く感じ。映画館で聞くと癒やされると思います。

松坂:いやいや、僕は匠海君ってこんなにいい声してるのかと改めて思いました。僕らは役で10歳違いだけど、実年齢は僕が30歳で匠海君が21歳で9歳違う。匠海君の直実は、10代の未成熟ゆえの純粋さを感じさせるんですよ。僕も30歳を超えていろいろな経験をして、成長もしたけれど10代のときの純粋な気持ちは持ち切れなくなっている。そのことを声で気づかされました。

北村:松坂さんとは「ゆとりですがなにか」(2016年の連続ドラマ)で共演させていただいたんですが、あのときは緊張してほとんど話せなかったんです。今回約3年ぶりにご一緒し、お話しさせていただけてうれしいです。松坂さんは僕と同じくゲームやアニメが好きなんですよね。よい意味で少年の心を持ち続けているのが素敵だなと。松坂さんは監督と「新世紀エヴァンゲリオン」が好きという点で、つながっているんですよね。

次のページ