米国戦でディフェンスに囲まれながらゴールに迫る八村塁。東京五輪でも徹底マークされることが予想される=9月5日、中国・上海 (c)朝日新聞社
米国戦でディフェンスに囲まれながらゴールに迫る八村塁。東京五輪でも徹底マークされることが予想される=9月5日、中国・上海 (c)朝日新聞社

 NBAプレーヤーの八村塁ら最強の布陣で臨んだ、バスケットボール男子日本代表。だが、1次ラウンドで3連敗し世界の壁に阻まれた。来年の東京五輪に向け課題が見えた。AERA 2019年9月16日号に掲載された記事を紹介する。

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 中国で開催されているバスケットボール男子のW杯で、日本は1次ラウンド敗退に終わった。世界ランキング48位の日本はトルコ(17位)、チェコ(24位)、米国(1位)に3連敗。NBAのウィザーズにドラフト1巡目で入団した、八村塁(21)を擁し“史上最強”と言われたが、世界の壁は高かった。

 とはいえ、来年の東京オリンピックに向け、その壁に直接触れて課題を得たことは大きな収穫だった。

 課題の第一は、各国が東京でもやってくるに違いない「八村包囲網」をどう突破するか。トルコ戦で八村は、2人に挟まれるダブルチームに遭い15得点。問題なのは、時には3人がかりで強襲されながらもチーム最多得点だったということ。ファジーカス・ニック(34)も同じ15得点を挙げはしたが、他選手がもっと得点すべき試合だろう。

 例えば、エースが囲まれた外で4対2の数的優位が生まれているのに、選手の足は止まっていた。「俺によこせ」とばかりに動くアグレッシブさや、わざと八村にディフェンスを集めさせ数的優位を狙うしたたかさが十分ではなかった。

 試合本番での対応力というよりも、あらかじめマークを予測し包囲網崩しを準備する必要があった。だが、大会前にドイツを下し、強豪アルゼンチン相手に競った親善試合ではここまでマークされなかったし、囲まれても八村はねじ込んでいた。

 続くチェコ戦で八村はマークされながらチーム最多の21得点を挙げた。トルコ戦よりも他選手のサポート意識は見られたが、効果的な得点に結びついていなかったようだ。チェコは、ポイントガードのトーマス・サトランスキーが日本の徹底マークに遭いながら他選手が活躍し11本の3ポイントシュートを沈めたのに対し、日本の3ポイントはわずか4本。八村包囲網の外からの得点力アップが必須だ。

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