今回の展覧会のメインテーマは「リアル三国志」。といっても、小説である『三国志演義』より正史『三国志』を重視するという意味ではない。現実に発掘された“生もの”の遺跡や出土品から、改めて三国志の時代を感じてほしいというスタンスだ。

「ともすれば“ファンタジー”とも思われがちな三国志の時代が、本当にあったんだというシンプルな事実を体感してほしいです。三国志に関する本やゲームはたくさん出ていますが、今回の展示では原点回帰、本物志向という最近の傾向を意識しようと、早い段階から決めていました」(市元さん)

 市元さんら研究員は10回以上中国を訪れ、ほぼ全土に足を運んだ。そうして集めた最新の考古発掘成果約160件は、「プロローグ」から「エピローグ」まで七つの章に分けて展示されている。(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年9月2日号より抜粋