長男が小学校入学のタイミングで大企業を辞めて独立した広中さん。「息子が自転車に初めて乗れた瞬間に立ち会えたのがうれしい」(写真:本人提供)
長男が小学校入学のタイミングで大企業を辞めて独立した広中さん。「息子が自転車に初めて乗れた瞬間に立ち会えたのがうれしい」(写真:本人提供)
子育て中の男性たちに聞きました パパの子育て、これがあればもっとできる!(AERA 2019年7月29日号より)
子育て中の男性たちに聞きました パパの子育て、これがあればもっとできる!(AERA 2019年7月29日号より)

 子育てに積極的な父親が増えている。育児に対する男性の意識の変化が、企業の働き方改革を後押ししているという。そんな父親たちのやる気を削ぐのは、「子育ては母親が主体」といった従来の認識だという。

【子育て中の男性たちの声】「パパの子育て、これがあればもっとできる!」

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 広中秀俊さん(41)は、この春、長男が小学校に入学したタイミングで、大手住宅メーカーの経理職を辞めて独立した。これまでも土日は子育てに時間を費やしていたが、平日夜の帰宅は遅かった。

「もっと子どもと深く関わりたいという気持ちが募り、より時間の融通が利く働き方に変えた」

 独立はもともと考えていたが、いま決断したのは子育ては期間限定だと考えたからだ。平日に早めに帰宅して宿題に付き添えることに幸せを感じるという。

 ワークよりライフを中心としたキャリア設計は、これまでは女性が主語として語られることが多く、「男性は仕事が中心」という考え方が一般的だった。しかし、人生を長期でとらえて「今しか経験できない子育てにしっかり向き合いたい」と語る男性は増えている。

 保育園では送迎を担当するパパの姿もすっかりお馴染みとなり、休日の街中には慣れた手つきで抱っこ紐を装着するパパもあちこちで見られるようになった。しかしながら、パパたちのやる気が削がれるシーンはまだまだある。

 例えば、妻に休んでもらおうと父子で出掛けたショッピングセンターで、オムツ替えシートが女性トイレのみにしかないとき。駆け込んだ小児科の待合室で、「子どものSOSに気づけるのはお母さんです」と書かれたポスターが目に入ったとき。

 そして、なかでも手強いのは、小学校入学を機に味わう“パパの小1の壁”だ。

 自営業の男性(44)は、フルタイムで働く会社員の妻と共に、長男(6)の子育てに関わってきた。保育園時代は積極的に送り迎えや行事にも参加。地域活動にも関心が高かったため、長男が入学した小学校のPTAの「学年委員」にも手を挙げた。しかし、その世界は予想以上に母親主体だったと語る。

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