■積立期間と金額はどうする?

 いざ純金積立を始めようと思ったら、月々の積立金額はいくらにするか、また、どれくらい続けるかが問題になる。アエラ読者へのアンケートの回答では月々1万円の積立金額が多かったが、こればかりは家計の事情によりけり。ネット証券なら1000円から、貴金属会社は3000円から積み立てることができるので、積立金のハードルはそれほど高くはないはずだ。積立期間については、始めるときから厳密に決める必要はない。ただ、長期積立する予定なら、年会費・保管料が無料の会社で始めたほうがいい。

■最初は毎月3000円で十分

「積立金額は最低水準の3000円で十分でしょう。毎月3000円なら、がんばれば捻出できる金額です。また、現在の金の国内価格は1グラムあたり5000円程度なので、積立額をもう少し増やして毎月『1グラムの積立』を目指すのも一つの考え方です」(田嶋さん)

 3000円でも1年積み立てれば3万6000円、10年なら36万円になる。月々の積立金額は「強制貯金」と似た効果もある。銀行の普通預金口座にお金があるとついつい使ってしまいがちな人にとっては、「貯めグセ」をつけるいいきっかけになるはずだ。

 そして月に1度ぐらいは積立口座にアクセス。「毎月、何グラムの金が買えているのか」「金の価格は日々どう動いているのか」「どうして金の価格が上がっているのか」などをチェックしたり考えたりすることも大切。金融商品としての金の性質や値動きを知ることで、自然と経済や資産運用の勉強ができるのも純金積立のメリットといえる。

■最低5年、できれば10年以上続ける

「純金積立は最低でも5年、できれば10年以上続けましょう」と田嶋さん。

「金の魅力はどれだけ時間が経っても価値がゼロにならない点にあります。今、買っても10年後に買っても金は金のまま。しかし、世の経済状況は激変しているかもしれません。そうした不測の事態、先の読めない未来に、前もって備えるのが純金積立の一番の目的なんです」(同)

 株は企業の成長に投資するものだが、企業だって生き物。栄枯盛衰があり、成長し続けるかどうかはわからない。債券はもともと償還日が決まっている。でも、金の価値が永遠に変わらないことは、長い歴史が証明している。金に長期投資することは、何が起こるかわからないこの先の自分の人生や世の中の変化に対する確かな備えになるのだ。

「もちろん、金を長期間保有しても利息は一銭ももらえません。だからこそ無理をせず、負担にならない月々3000円程度の積立で十分。逆に高額な資金をつぎ込むのは資産運用の効率も悪く、リスクも高いのでお勧めしません。少額資金で5年、10年という長きにわたってコツコツ続けるという純金積立のスタンスが、金の魅力を最大限に引き出してくれる投資法といえるでしょう」(同)

 これから先、何か困ったことが起こったときに、長年積み立ててきた金を換金すれば救われるかもしれない。老後不安や将来の危機に対して、金の持つ価値は頼りがいのある自己防衛の手段になる。

 長期投資が大前提という意味でも、純金積立を扱う会社選びでは、年会費や保管料が無料でランニングコストがリーズナブルなところを選ぼう。

(取材・文/新藤良太、伊藤忍)