真剣にメモを取りながら聞く人もいれば、笑いを取りながら自分を語る人もいる。1時間半で三つのセッションをグループを変えながら行い、最後は全員の記念撮影で終了した。

 横浜市戸塚区から来たスノーボードが趣味という男子大学生(21)は語る。

「消費税増税が不安。年金ももらえなそうだし、このまま本当に憲法が改正されちゃうんじゃないかも心配。普段政治の話はしないですが、こういう話をフランクにできる場があるっていいなと思った。その人の思考を知ることができるのがすごく楽しくて、刺激的な時間でした」

 都内から来た大学生の深澤留衣さん(20)もこう語る。

「暗黙の了解で政治の話はしちゃいけないと感じてきて。政治について知らないまま投票してきたし、知ろうと思っても情報が多すぎて。でも関心がないから投票しないのは無責任だと思ったし、選挙権がない人のためにも投票に行かなきゃと思った」

 若者の投票率向上を目指し活動する学生団体もある。「ivote」は、今回の参院選に向けて立候補予定者と若者の意見交換会を開いたり、「大学生が参議院選挙に行くためのページ」というサイトを随時更新したりしている。代表で学習院大学法学部3年生の正生雄大(まさおゆうだい)さん(20)はこう言う。

「若者が投票に行かないと若者向けの政策が立てられなくなります。と同時に、選挙の時だけ政治に関心を持っても意味がない。自分のコミュニティーに日頃から関わることを尊重するような価値を作り上げていかないといけないと思います」

 とはいえ選挙は、投票行動だけではなく社会との接点や政治への気づきなどを感じることもできる大きな契機だと言う。

「選挙を契機に若者と社会のコミュニケーションを促進するような働きかけをやっていくことは意味があると思っています」

(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年7月22日号