現在発売中の「文學界」2019年8月号にも最新の短編2編が発表されたばかりの村上春樹さん(中央)。シンガー・ソングライターのスガシカオさんなど、豪華ゲストが次々と登場した(TOKYO FM提供)
現在発売中の「文學界」2019年8月号にも最新の短編2編が発表されたばかりの村上春樹さん(中央)。シンガー・ソングライターのスガシカオさんなど、豪華ゲストが次々と登場した(TOKYO FM提供)
最後はオールキャストによる「チュニジアの夜」のジャムセッションでライブは最高潮の盛り上がりを見せた。渡辺貞夫さん(アルトサックス、中央左)と北村英治さん(クラリネット、中央右)(TOKYO FM提供)
最後はオールキャストによる「チュニジアの夜」のジャムセッションでライブは最高潮の盛り上がりを見せた。渡辺貞夫さん(アルトサックス、中央左)と北村英治さん(クラリネット、中央右)(TOKYO FM提供)

 日本が誇る世界的小説家でありながら、公の場にはほとんど姿を現さない。その村上春樹さんがラジオの公開収録としてライブを開催。多彩なゲストと150人のファンが集まった。

【写真】最後は渡辺貞夫さんらオールキャストによるジャムセッションで最高潮の盛り上がりに!

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 6月26日、村上春樹さん(70)の作家活動40周年を記念したスペシャルライブ「村上JAM」が東京・半蔵門のTOKYO FMホールで開催された。昨年8月5日からこれまで6回放送された「村上RADIO」(TOKYO FM系)の特別版だ。リスナーのリクエストによって実現したという公開収録は、村上さんにとっても初の試み。約1万2千通の応募から、抽選で150人のリスナーが無料招待された。

 同番組のエグゼクティブプロデューサーで、今回のイベントの仕掛け人である延江浩さん(61)はこう語る。

「春樹さんの作家活動40周年に、ラジオとして何ができるか考えました。春樹さんの青春は音楽とともにあった。そこで『ピーターキャット』を再現したいと提案しました。音楽とそれにまつわる証言で構成し、実際に春樹さんにも出演していただけないかと、それなりの緊張感をもってお願いしました」

「ピーターキャット」とは、かつて村上さんが経営していたジャズバーだ。1979年、『風の歌を聴け』で作家デビューした当時は、ジャズバーのマスターをする兼業作家だった。村上さんの音楽好きは有名で、約1万5千枚のレコードと、CDについては数えたこともないというほどのコレクションを持ち、ジャズに関する著作や翻訳もある。村上作品を語る上でも、ジャズの存在は欠かせない。

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