腹囲とBMIが基準を超える人の割合(AERA 2019年7月8日号より)
腹囲とBMIが基準を超える人の割合(AERA 2019年7月8日号より)
腹囲の計測方法(AERA 2019年7月8日号より)
腹囲の計測方法(AERA 2019年7月8日号より)
内臓脂肪は皮下脂肪より早く落ちる(AERA 2019年7月8日号より)
内臓脂肪は皮下脂肪より早く落ちる(AERA 2019年7月8日号より)

 糖尿病、高血圧、認知症など、さまざまな病気を引き起こす内臓脂肪。減らすことでそのリスクも軽減できるが、気になるのはどれくらいの脂肪がついているか、どの程度やせればいいのかだ。

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 内臓脂肪のつき具合は、どうしたらわかるのか。内臓脂肪レベルを判定できる体脂肪計もあるが推定値に過ぎず、誤差がある。正確に知るには腹部CTスキャンを受けるしかないが、腹囲が一つの目安となる。男性85センチ以上、女性90センチ以上あれば内臓脂肪が蓄積している可能性は高い。驚くべきことに、40~74歳の男性57.2%、女性20.7%が、基準値を超えている。女性よりも男性に多いのは、女性は女性ホルモンの働きで内臓脂肪よりも皮下脂肪をためやすいためだ。ただし、女性ホルモンが減少する閉経前後から内臓脂肪が蓄積しやすくなるため、油断できない。

 さまざまな病気をもたらす内臓脂肪だが、皮下脂肪と比べて減りやすいという特徴もある。

「内臓脂肪は食べ過ぎや運動不足によって急速に蓄積しますが、食事の改善や運動により、早い段階で減少するのが特徴です。減量を開始したときの内臓脂肪と皮下脂肪の変化を調べたところ、皮下脂肪はなかなか変化しないのに対し、内臓脂肪は劇的に減るというデータもあります」(池谷医院院長の池谷敏郎医師)

「内臓脂肪型肥満」の診断を受け生活改善中の男性も体重は増減を繰り返しているものの、130平方センチあった内臓脂肪は110平方センチまで減ったという。

さらに、少し減らすだけでも、その効果は大きいと日本肥満学会の「肥満症診療ガイドライン2016」の作成委員会委員長で、結核予防会総合健診推進センター所長の宮崎滋医師は指摘する。

「3%やせるだけで血圧や血糖値、尿酸値なども改善し、内臓脂肪が関連する病気のリスクがぐんと減ることがわかっています。高血圧や糖尿病などの薬を飲むよりも、内臓脂肪を減らしたほうが効果的な場合もある。急激なダイエットは筋肉も落ちてしまい、健康を害する可能性がある。3~6カ月をめどに3%減を目指してください」

 60キロの人であれば1.8キロ。なんとかなりそうだ。(編集部・深澤友紀、小長光哲郎)

AERA 2019年7月8日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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