「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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時々、市場調査をかねて、ローソンの社長であることを明かさずに「どこのコンビニが好きですか」と聞くことがあります。
先日もお客さまの声を伺う機会があり、20代くらいの女性は「ローソンが一番です」と教えてくれました。家の周りにローソンはなく、わざわざ車で来てくださるそうで理由を聞くと、「バスチーが好きで、週3日食べています」と話してくれました。うれしくなってローソンのスイーツについて尋ねていたら、不思議そうな顔で「女子力ありますね」なんて言われてしまい……(笑)。
スイーツには疲れを吹き飛ばしたり、ご褒美になったりと癒やしの効果があります。ローソンでもスイーツに注力していて、毎週店頭には新商品が並んでいます。ですが反響が思わしくなければ、すぐに棚は入れ替わります。バスチーは3月末に発売してから、累計販売数が1500万個を突破。いまや看板商品になりました。
「ローソンといえばスイーツ」と言ってくださる方も多いですが、ヒット商品の開発は簡単にできるものではありません。
新商品を開発するときには、競合商品やターゲット層のことを考えがちです。でもそれ以上に、「自分が本当に食べたいもの」「家族、友人に食べてもらいたいもの」を作ろうという発想の方が大事ではないかと社内で議論を続けてきました。
最近、バスチー以外にも「ザクシュー」「どらもっち」などヒット商品が次々生まれ始めています。
自分が食べたいものは、お客さまにもきっと届く。今の時代は、作り手の思いやこだわりがつまった商品が求められているように感じています。これからも自信をもって薦められる商品を作って、お客さまの期待に応えていきたいと思っています。
※AERA 2019年7月8日号