「放送大がなかったら、心が折れていたと思います。勉強をしながらお金を貯めて、国立大学の3年次編入を目指したい。宇宙工学を学び、宇宙に関する仕事に就きたいです」(小澤さん)

 文部科学省と総務省が所管する通信制大学・放送大学は1983年に開学した。教養学部のみの単科大学で、約8万4千人(学部)が在籍する。入学試験はない。授業はBSテレビやインターネットを介して行われる放送授業のほか、全国57カ所の学習センターやサテライトスペースで対面の面接授業がある。放送授業と面接授業を合わせ124単位以上修得し、4年以上在学すれば学士の学位を取得できる。

 開学から36年。変化もある。岩永雅也副学長はこう話す。

「本学の学生調査では、学生の入学目的は開学から長らく『大卒資格を得たい』がトップでしたが、最新の調査(18年)では『教養を身につけたい』がトップです。開学当初は入学者の約7割は高卒者で、大学進学を逃した人たちの機会を保障するセーフティーネットとしての役割が中心でしたが、現在は学部学生の約4割が四大卒以上。放送大学の役割も変わりつつあります」

(編集部・澤田晃宏)

AERA 2019年6月24日号より抜粋