図版=AERA 2019年5月27日号より(イラスト:土井ラブ平)
図版=AERA 2019年5月27日号より(イラスト:土井ラブ平)
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「サブスク? あ、あぁ……あれね」 昭和世代にとって知ったかぶりすら難しいのがサブスク。試してみたら、これがハマるんです。

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 かつて三大欲求に次ぐ第四の欲求に、人々が支配されていた時代があった。物欲だ。かく言う自分は、令和になっても物欲の呪縛から逃れられないでいるひとり。実はこれにはいくつかの種類があったと思う。

 まず、ステータスとしての物を所有することに喜びを見いだすタイプ。食べる物を我慢してブランド服を買ったり、家賃より高い屋根付き駐車場を借りて、外車を乗り回すなんて人も、昔はほんとにいたんだから。

 そしてもうひとつ。お金を使うことに喜びを感じる物欲もあった。ミニマルだか、ミニマムだか、カントリーマアムだか知らないけど、とにかくシンプルに賢く生きる今どきの若者には、ますます意味不明だと思う。

 例えば以前、買い物依存症の取材で精神科医を訪ねたときのことだ。雑談中、「私も買ったのに、タグが付いたままの服が、押し入れでうなってるんですよ」と自虐エピソードを披露。と、先生は顔色を変えて言った。

「買い物依存症は、まさにキミのことだよ」

 えー……とまあ、前置きが長いのだが、最近、物欲とはまるで反対のこんなサービスが花盛りとなっている。サブスクリプション、略して「サブスク」だ。

 ネーミングからして「昭和の人は知らないでいいですから」的なわかりにくさがあるが、そもそもは、昔からなじみがある新聞や雑誌の「定期購読」の意味。ここから広がって、最近は定額制のさまざまなサービスのことを言うようになった。

 よく言われるサブスクのキャッチフレーズは「所有から利用へ」。使うか使わないかより、所有することに喜びを感じる自分なんかとは違う、今どきのスマート志向ともマッチ。サブスクはヒットのキーワードになって、どんどん種類も増えている。

 で、そんな「サブスク」の使い倒しが今回のミッションだ。デジタル時代だからこそ生まれた、なるほどな使い放題サービスから、「レンタル」の看板を「サブスク」に塗り替えただけの便乗サービスまで、山ほどあるサブスクのいくつかを試してみた。

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