山下:同感です。平成の世の天皇像は、上皇陛下が完成形だと思っていますが、時代は変わります。その変わった部分を常に補い続けなければいけない。天皇陛下がおっしゃってきた「時代に即した新しい公務」が補うことになるのだと思います。

近重:上皇、上皇后両陛下のなさりようを継承されつつ、天皇、皇后両陛下がこれまでも述べられているように、国民と国のために研鑽(けんさん)を積んでいかれたいということだと思います。

──皇后陛下のお姿を見ることも増えそうです。

久能:そうですね。けれども、雅子さまが今後すべての公務に出られるかは、ご病気は完治したわけではありませんから、私は難しいのではと考えています。そのことを国民が本当に理解してさしあげられるかどうか。「美智子さまは多少具合が悪くてもなさったじゃないか」という批判が生まれるかもしれません。そこが心配です。

山下:ご病気については、世間でもだいぶ理解されるようになってきましたが、それでもご公務に出られない際に、納得いかない人はいるかもしれません。即位礼正殿の儀など、大きな儀式、行事が続く10月、11月に向けて、ご体調を大切にしていただければ。

近重:完璧を求めすぎず、無理しないでいただきたいですね。

(構成/編集部・小田健司)

AERA 2019年5月20日号より抜粋