竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
今年2月、オープンしたゲートシティ大崎アトリウム店。セルフレジは9月末までに全店で運用します
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今年2月、オープンしたゲートシティ大崎アトリウム店。セルフレジは9月末までに全店で運用します

「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 今年度の出店数が増減ゼロになると発表したところ、足元のコンビニ業界への社会からの問題提起と相まって、「思い切りましたね」と大きな反響がありました。ただ、思うように利益が出ない店舗を、より売り上げと利益が見込める店舗に置き換えていくことは自然な流れです。また、出店基準も競争が激しくなるにつれ、どんどん引き上げています。今年度は閉店する店が出店数とほぼ同数になると見込んだわけです。

 ローソンではかつて、一つのエリアに集中するドミナント戦略ではなく、既存店の迷惑にならない場所への出店を進めてきました。

 その結果として22年も前の1997年、47都道府県すべてに進出を果たしました。その後、同業他社との競争が激化し、既存店の近くにも店舗を増やすことになります。同じ看板の仲間同士で対立し合うのではなく、一緒に盛り上がってほしい。そうした思いから、既存店の近隣に出店する場合は、その近隣オーナーの方にまずお声がけし、1人のオーナーによる「多店舗経営」に舵を切りました。店舗が増えて経営基盤がしっかりすれば、他社が出店してきた時も戦うことができます。いまでは、全店舗の7割が複数店経営です。

 大切なのは、店舗数ではなく、加盟店のみなさんが元気で、ローソンがマチの1番店であることです。今回の増減ゼロについては、加盟店のみなさんからも「方針はそれでいいのでは」と違和感はないようです。

 ただ、人手不足は深刻ですし、日々の効率化は待ったなし。食品などの廃棄率も下げていく必要があります。自動化できるところは徹底的に、そして、良い商品をつくり続ける。小さな声を拾い上げるために、現場へのヒアリングも欠かさず行います。フランチャイズビジネスは、本部だけでは成り立ちませんから。

AERA 2019年5月20日号

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竹増貞信

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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