実は中原先生も、10歳の息子さんと一緒にドラムと合気道を習っていたそう。

「なにより、ただ見学しているより、自分でもやったほうが断然楽しいんです。子どもとの共通の話題が生まれますし、親子一緒だと長く続けられる気がします」

 また「学び」というと、「資格」と直結して考える人も多いでしょう。水野さんは、「資格取得のための学びは『仕事にブランクがあって自信がない』『資格を取得することで再就職への弾みをつけたい』といった、働くことを目的とした理由であればいいでしょう。ただ、現場では資格よりも『実務経験』が重宝されることも知っておいてもらいたいのです」と話します。

 例えば主婦に人気の医療事務の資格。通信教育などで10万円前後の費用で取得できるため、「とりあえず取ってみよう」と勉強を始める人が多くみられます。

「でも、やはり医療の現場でも、資格より経験重視のケースが多いんですね。クリニックの受付業務など、資格を持っていなくても働ける病院の求人はたくさんあります。まずは現場を体験してみましょう」(水野さん)

 現場での体験は、「私は本当に病院で働きたいのか?」と自分と向き合い、「この仕事は私に向いているのか?」と適性を考えるうえでなにより参考になります。そこで「これならやりたい!」と納得できるなら、そこから資格取得に向けての勉強を始めればいいこと。実務経験+資格で大きな強みとなるでしょう。

 しかし、このご時世。実務経験を積むにも、主婦が働くのは難しいのでは?と思う方も多いでしょう。

「いえいえ、今や主婦人材は高く評価されていて、短時間でも働いてほしいという企業が増えているのです。しっかり仕事ができて、コミュニケーション能力が高い方が多いですからね。研修制度を導入するなど、主婦の人材育成に力を入れている企業も多いんですよ」(中原先生)

 これからは人生100年時代。いろいろなことに挑戦する時間はたっぷりあります。

「いったん学んだことに対して、向いてないと思うことがあるかもしれません。でもそれは失敗でも無駄でもなく、次のステップに向けての経験。意味のあることと考えてもいいでしょう」(中原先生)

『AERA with Kids春号』では、実際に学び直しをして、新しい世界を手に入れた母親たちの例もリポートしています。参考にしてみてください。(文・フリーライター阿部桃子)

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2019年 春号 [雑誌]

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阿部桃子
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