竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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「ローソン ミズ木原店」では、店内で血圧や体脂肪を測ることもできます

「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 コンビニの使われ方は、時代とともに変化してきました。まずは、まさにコンビニエンス=便利であることが求められ、必要なものがいつでも効率的にお買い物できるよう私たちも追求してきました。それに加え、最近は街の「生活インフラ」としての機能が求められ、災害などの非常時には「ライフライン」の役割も果たすようになりました。

 お客さまの層も、かつては働く男性中心だったのが、高齢者や子育て中のお母さんなど、街にお住まいのいろんな方に利用して頂けるようになりました。ただお買い物をして帰るだけでなく、イートインスペースでママ友やシニアのお客さまがくつろがれたり、営業マンの方がちょっと一息コーヒーを飲んでいかれたりと、お店の使われ方も街と共に随分変化しています。

 佐賀市にある「ローソン ミズ木原店」では、敷地の中に複数の診療機関が入った医療モールとケアセンターがあり、店内には調剤薬局があります。薬剤師さんによる健康相談なども受けられるので、お店が街の皆さんの交流の場になっています。さらに近くには保育園もあるので、園に迎えに来た親御さんが店内で一息ついている間にお子さんが外で遊ぶなど、「3世代」がお店に集う光景もみられます。便利さだけを追求したかつてのコンビニではなく、お店を「ハブ」とした地域交流の場となっているのです。

 街の暮らしが変われば、ローソンのあり方も変わります。佐賀市以外でも、店舗で商品を売るだけでなく、地域の店舗で栄養相談会をしたり、骨密度測定会をしたりしています。コミュニティーを盛り上げ、街の課題解決をすることもローソンの役割。それは、「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」という企業理念にもつながります。

 これからも、多様な役割を果たせるローソンであり続けたいと思っています。

AERA 2019年5月13日号

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