「ありがと平成」と書かれたボードを掲げる女性 (撮影/写真部・東川哲也)
「ありがと平成」と書かれたボードを掲げる女性 (撮影/写真部・東川哲也)
スマホを片手に改元の瞬間を迎えた若者たち (撮影 写真部・東川哲也)
スマホを片手に改元の瞬間を迎えた若者たち (撮影 写真部・東川哲也)

 サッカーW杯やハロウィーンといったイベントのたび、若者たちが押し寄せる東京・渋谷のスクランブル交差点。平成最後の夜も人々が集まった。令和を迎えた未明まで、渋谷の街を記者がルポした。

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 22:35 渋谷のセンター街にある「プリクラ」店。撮影したプリクラに「平成最後」「平成→令和」といった落書きを楽しむ若い女性たちの姿が目立った。高校時代の同級生だという2人組の女性たちは、クリスマスも渋谷で過ごしたという。「この後どこでカウントダウンしようかな。まだ決めてないです」
 
「令和」の文字がプリントされたTシャツを着た20代男性は、「元号またぎ蕎麦を食べてきます! 一緒にどうっすか?」とセンター街の奥へ。
 
 23:00 スクランブル交差点には、カウントダウンを待ち構える人々が集まり始めた。雨の影響もあってか、まだ人出はまばら。この時点では、マスコミの姿のほうが目立っていた。
 
 警視庁の警察官の姿もあちこちに。首からメガホンをぶらさげ、規制ロープを手にしている。厳重な警戒ぶりを見ると、かえって何かが起きるのでは、という気持ちになってくる。26日には秋篠宮悠仁さまが通うお茶の水女子大学付属中学校に男が侵入したばかり。さらに年明け、原宿・竹下通りに暴走車が突っ込んだことを思い出し、不安になった。
 
 23:36 だんだん歩道に人があふれかえってくる。人の密度が高くなると、雨に混じって酒のにおいが立ち込めた。拡声器で誘導する警察官の声もせわしなくなり、警笛の音がスクランブル交差点に鳴り響く。
 
「前を向いて歩いてください!」
「立ち止まらずにお進みください!」
「歩道に上がってください!」
 
 何度も繰り返す警察官に、若者たちが「令和!」と連呼する。
 
 23:52 密集した人々はスマホを高く掲げ、動画や写真を撮り始める。
 
 23:59 どこかのテレビ局のスタッフが「15秒です」とつぶやいたのをきっかけに、自然にカウントダウンが始まった。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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