藤井聡太 最年少で将棋の歴代最多連勝記録を塗り替え (c)朝日新聞社
藤井聡太 最年少で将棋の歴代最多連勝記録を塗り替え (c)朝日新聞社

 まもなく終わる平成を振り返ると、実にさまざまな流行語や出来事があったが、価値観や働き方の変化もあった時代だった。AERAはそんな時代の思い出を読者と共に振り返る。

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 変わったのは価値観や働き方もだ。平成元年には「24時間戦えますか」のフレーズで有名な栄養ドリンクのCMが流行したが、氷河期に就職を経験したアラフォー以下の世代に、その言葉は通じない。

 都内に住む会社員の男性(42)は、自分と親の世代とでは随分と感覚が違うと話す。

「昔は大手企業に入ってなんぼみたいなところがあったけど、自分の時代は違った。でも、親は以前の価値観を引きずる世代。平成は、価値観を変えられた人と、変わっていない人が混在していた時代だと思います」

 静岡市在住の会社員、山下千恵さん(31)はさらに下で「ゆとり」と言われる世代だ。

「何もしてないのに周りの人から『ゆとりだよね~』って言われてしまいすごく迷惑です。仕事一筋の親世代と比べると、ワーク・ライフ・バランスは大事にしていると思いますが……」

 そんな平成世代の働き方について、社会学者の田中俊之さんは、こう振り返る。

「『24時間戦えますか』と同じ頃、『5時から男』のCMも話題だった。つまり、アフターファイブだけを楽しみにするサラリーマンもいて、それでも家族を養うだけの給与がもらえた。でも、バブル崩壊後の低成長時代には、そんな働き方は許されない」

 長時間労働やパワハラなどは当然、平成に置いたまま次の時代に持っていきたくない。さらには非正規雇用や格差が広がり、非婚化が進むという問題も山積している。それらに対する政府の政策をみても、田中さんはピントがズレていると感じる。

「政策のピントのズレこそ、平成に置いていきたいものです」

 5月1日から「令和」がはじまる。苦い思い出や時代錯誤の価値観は平成とともにグッバイ! そして新たな気持ちでハロー令和!(フリーランス記者・宮本さおり、大楽眞衣子)

AERA 2019年4月29日号-2019年5月6日合併号より抜粋