同社で開催されたユーザー交流会。対談やグループワークの後、懇親会で親睦を深めた。遠方から参加する人も。今後はユーザー自身が運営に参加する方向(撮影/写真部・小山幸佑(右)、写真:ストリーム提供)
同社で開催されたユーザー交流会。対談やグループワークの後、懇親会で親睦を深めた。遠方から参加する人も。今後はユーザー自身が運営に参加する方向(撮影/写真部・小山幸佑(右)、写真:ストリーム提供)

 スマホを数タップするだけで投資ができる「スマホ証券」が、ベンチャー企業から続々と誕生している。初心者を引き付ける独自のサービスとは?

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「スシローは全国展開しているし、大きそうですよね」

「コメダは店舗も少なそうだし、一番小さい?」

 40人の個人投資家がグループに分かれ、有名外食チェーンの時価総額について意見を交わしている。クイズをきっかけに、各社のビジネスモデルや収益構造の違いを講師が明らかにすると、参加者は顔を見合わせながら驚きの声を上げた。

 これはフィナテキストホールディングス(HD)傘下のスマホ証券「STREAM(ストリーム)」のユーザーイベントだ。ストリームを利用する個人投資家が、ある「活動」をしてステータスを上げることで、イベントに参加する権利が得られる。

 その「活動」とは、アプリ上のコミュニティーへの参加だ。ストリームはコミュニティー型のスマホ証券で、SNSのような機能がある。ユーザーが個別銘柄や経済ニュース、話題別の掲示板などに自由にコメントを書き込んで、情報交換したり意見を交わしたりできる。フィナテキストHDの林良太CEO(33)は、その狙いをこう説明する。

「個人投資家はわからないことがあってもひとりで相場に向き合わなければならず、それが初心者にとって壁になっています。投資に興味を持つ人同士が気軽に雑談できる場があれば、楽しみながら続けられるはず」

 金利はほぼゼロ、給料から天引きされる社会保険料や税金ばかりが上がって手取り額は頭打ちだ。年金不安の中で「人生100年時代」を迎える社会では、貯蓄ばかりでなくある程度リスクを取った投資の必要性が高まっていることは論をまたない。林さんは、新興証券の役割についてこう語る。

「既存の対面証券はもちろん、ネット証券もサービスはほとんど同じで画一化してしまっている。でも、お金は生活に密着した存在なのだからもっと自由なサービスがあっていい。多様な価値や選択肢を提供し、投資家の裾野を広げていきたい」

 いま裾野を広げる役割をになうフィナテキストHDのようなベンチャー企業が増えている。

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