ストリームでは、アプリではユーザー同士がフォローし合ったり、コメントしたり、「いいね!」をつけたりする機能があり、これら一つひとつのアクションに、ポイントがつくしくみになっている。投稿や交流をするたびにポイントが増え、イベントに応募する権利のほか、信用取引での金利優遇などの特典を受けられる。

 イベントに参加した個人投資家に話を聞くと、株や相場について話ができるコミュニティーが楽しい、と声をそろえる。

「リアルな知人で株に興味がある人がいない。投資している企業や話題の企業についてアプリ内でワイガヤと話ができるのが楽しい」(33歳、男性会社員)

「株は勝負の世界で、気軽に話すことではないイメージがあったけれど、ここで知り合った人たちと仲良くなって投資が楽しくなりました。今はLINEグループでもいろんな話をしています」(49歳、女性会社員)

「専門家やアナリストじゃなく、リアルに投資する人の意見が知りたいし、話をしたい。証券会社の投資セミナーに参加してもおじいさんばかりですが、ここだと同年代の人もたくさんいてうれしい」(26歳、男性会社員)

 株式投資を始めてまだ1~3年程度という人が多いが、どの人も投資を楽しんでいるのが伝わってくる。

 投資家のコミュニティーというと、大手ポータルサイトの掲示板が有名だが、殺伐としたコメントも多く、初心者が気軽に質問できる雰囲気はあまりない。

「ストリームでは初歩的な質問をする人に経験者が丁寧に解説するやりとりも多くみられます。参加者は本人確認書類を提出して口座開設した人だけ。質の高いコミュニティーができています」(林さん)

 ストリームは株の取引手数料が無料。また、証券取引所を介さずに機関投資家や個人の注文をマッチングさせる「ダークプール」と呼ばれるしくみも採用しており、取引所で売買するより安く買えたり高く売れたりするケースもあるという。

 取引所での価格より有利に売買できた場合のみ、投資家がトクした金額の半分を手数料として徴収しているというが、これでビジネスが成り立つのだろうか。

「当社は異業種が証券業に参入するためのプラットフォームを企業に提供するのが主な収益源です。まずはストリームを通して、証券の可能性を広げたいと考えています」(林さん)

(ライター・森田悦子)

AERA 2019年4月8日号より抜粋