【鶴見クリニック理事長】鶴見隆史氏(70)/西洋医学に限界を感じ、東洋医学、栄養学、食養法などを研究。日本における酵素栄養学の第一人者として活躍。著書も多数(写真:本人提供)
【鶴見クリニック理事長】鶴見隆史氏(70)/西洋医学に限界を感じ、東洋医学、栄養学、食養法などを研究。日本における酵素栄養学の第一人者として活躍。著書も多数(写真:本人提供)
「朝だけ断食」の流れ(AERA 2019年4月1日号より)
「朝だけ断食」の流れ(AERA 2019年4月1日号より)

 次の食事まで約16時間のインターバルをとる「朝だけ断食」で、5キロの減という結果を出した41歳のアエラ男性記者。自身の体験と医師による解説を交えながら、単に減量だけにとどまらない、その大きなメリットに迫る。

【16時間のインターバル?「朝だけ断食」の流れはこちら】

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 夜に食べ過ぎてしまったときも、朝だけ断食は「免罪符」になる。社会人ならば、夜の会食でお酒が入り、食べすぎてしまうこともある。仮に22時まで飲み食いしてしまったとしても、14時過ぎまで食事を我慢することで、肝臓が前日に余分に摂取した糖質を分解する時間を与えることができるので、体脂肪となりづらくなる効果が見込める。

 さらに、夜に食べ過ぎたときに限ってなぜか翌朝はおなかがすいて、多く食べてしまうという悪循環を断つこともできる。『朝だけ断食で、9割の不調が消える!』の著者で、鶴見クリニック理事長の鶴見隆史氏は、「20時以降の食事は悪影響が多いので避けたほうがいい」と前置きしつつ、食べ過ぎた翌朝の空腹感は「錯覚」だと語る。

「糖質が多い食事だと消化吸収が終わっていない段階で血糖値が乱高下するので、空腹を感じるだけです。朝は排泄の時間なので、本来は強い空腹感はない。前夜にとった糖質の影響で不自然に空腹を感じさせられているだけなのです」

 本誌の編集スタッフの中にも「朝ご飯を食べると、余計に昼におなかがすく」と語る女性が2人いた。これも同じメカニズムだと考えられ、朝に糖質を摂取したせいで昼前に「おなかがすいた」と錯覚させられているにすぎない。本当に体が栄養を欲しているわけではなく、脳が血糖値の乱高下に惑わされているだけなので、私たちもだまされてはいけないのだ。

 朝だけ断食には、もう一つ大きなメリットがあるという。断食によって、体にとって大切な「酵素」を温存できるようになるというのだ。

 鶴見氏によると、体内にある2万種類以上の酵素は、主に「消化酵素」と「代謝酵素」に分けられるという。消化酵素は食物を消化して、体内に必要な栄養素を吸収する。一方の代謝酵素は吸収された栄養素からエネルギーを取り出したり、細胞や器官、骨や筋肉などを修復したりするなど、免疫やホルモン、神経などの働きやバランスを整えているという。どちらも重要だが、食べすぎでバランスが崩れると不調を引き起こす、と鶴見氏は言う。

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