いま、チーズは「国産」がおいしい 盛り上がりを後押しするのは… (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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いま、チーズは「国産」がおいしい 盛り上がりを後押しするのは…

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小野ヒデコAERA#グルメ
2年に1度開催されるチーズプロフェッショナル協会主催の「ジャパンチーズアワード」。同時開催の「日本の銘チーズ百選」では全国のチーズを試食できる。2018年はのべ600人以上が来場した(撮影/横関一浩)

2年に1度開催されるチーズプロフェッショナル協会主催の「ジャパンチーズアワード」。同時開催の「日本の銘チーズ百選」では全国のチーズを試食できる。2018年はのべ600人以上が来場した(撮影/横関一浩)

「& CHEESE STAND」(東京都渋谷区)。できたてのチーズをはじめ、チーズと相性のいい塩やワインなどを販売(撮影/植田真紗美)

「& CHEESE STAND」(東京都渋谷区)。できたてのチーズをはじめ、チーズと相性のいい塩やワインなどを販売(撮影/植田真紗美)

【nobilu・社長】藤川真至さん(37)/21歳でイタリア・ナポリに行き、飛び込みでピザ店で働く。イタリアでチーズ作りを学び、帰国。経営の勉強をした後に独立した(撮影/植田真紗美)

【nobilu・社長】藤川真至さん(37)/21歳でイタリア・ナポリに行き、飛び込みでピザ店で働く。イタリアでチーズ作りを学び、帰国。経営の勉強をした後に独立した(撮影/植田真紗美)

【ニセコチーズ工房】近藤裕志さん(39)/ものづくりに興味を持ち、「自分で作ったものを、自信をもって提供したい」という思いから、30歳で会社員からチーズ職人に転向(撮影/横関一浩)

【ニセコチーズ工房】近藤裕志さん(39)/ものづくりに興味を持ち、「自分で作ったものを、自信をもって提供したい」という思いから、30歳で会社員からチーズ職人に転向(撮影/横関一浩)

 チーズといえばフランスかスイスと思いきや、いま「国産」がきている。担い手は小さな工房。こだわりの職人たちが丹精込めて日本の食文化にマッチしたオリジナルな味を作り出している。

【写真】ナチュラルチーズなどを生産・販売する店舗「& CHEESE STAND」

*  *  *
 午前2時50分、東京都渋谷区の代々木八幡駅近くの商店街。飲み会や仕事帰りの人がちらほらいる中を、チーズ職人の藤川真至さん(37)は足早に出勤する。向かうのは藤川さんが経営するナチュラルチーズなどを生産・販売する店舗「& CHEESE STAND」だ。店奥に約60平米の工房があり、午前3時にここでモッツァレラチーズ作りが始まる。

 毎日七つの牧場から届く、総量約400キロの牛乳を専用のパイプから容器に流し入れ、63度で30分低温殺菌することからスタートする。山場は最終工程。乳酸菌などを加え固形化したチーズに、90度の湯を加えて練る。手で引っ張ったときに、長く伸びる状態になったら両手でチーズを丸い形状になるよう絞っていく。絞る時間は一つあたりわずか2秒ほど。熱いうちに形作ることが勝負だ。できたてのチーズをいただくと、肉厚で弾力性があり、ほんのり温かく、口の中で甘さが広がった。

 全工程が終了したのは午前10時半。モッツァレラチーズ約60キロができあがった。

 藤川さんは2012年に店を開いた際、渋谷にこだわった。コンセプトは「街にできたてのチーズを」。

「牧場にいかなくても、都会の真ん中でできたてのチーズを届けたいと思いました」

 チーズタッカルビ、ラクレット、韓国発祥でアメリカンドッグの中に伸びるチーズが入った「チーズドッグ」や、じゃがいもとチーズを混ぜ合わせたフランス料理の「アリゴ」……。とろーりとろけるチーズは大人気だ。農林水産省のデータによると、17年の日本のチーズ総消費量は約34万トン。

 なかでも近年人気なのが、モッツァレラチーズやカマンベールチーズといった生きた乳酸菌などの微生物が含まれるナチュラルチーズ。スライスチーズやベビーチーズなど、製造工程で微生物を死滅させたプロセスチーズよりも、いわば“本格派”なチーズだ。人気の背景の一つに、インスタグラムの流行があるとNPO法人チーズプロフェッショナル協会理事の吉安由里子さんは分析する。

「味だけでなく、目でもおいしいところが特徴的。テレビでもチーズを取り上げる番組が頻繁にある。特に若者世代がチーズ人気を後押ししているようです」

 ナチュラルチーズといえば、フランスやスイス、ニュージーランドなどからの輸入品が有名だが、そんななかでも「国産」ナチュラルチーズの消費量は、10年前の1.3倍になる。

「食の安全にこだわる消費者の『国産』志向がチーズにもきているのではないでしょうか。質のよい国産の牛乳から作られる点が支持されているようです」(吉安さん)


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