竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
会議が開かれたスイスのダボスは、冬場にはスキー客を集める風光明媚なリゾート地です
会議が開かれたスイスのダボスは、冬場にはスキー客を集める風光明媚なリゾート地です

「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 1月下旬、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席しました。今年で2回目の参加です。

 毎年、政治、経済分野における世界のトップリーダーが一堂に会し、世界経済についてさまざまな議論が交わされるので、大変刺激を受けています。特に今年は、安倍晋三首相が出席したことで、日本からも多くの閣僚や官僚が現地入りし、とても活気づきました。

 安倍首相は「希望が生み出す経済」というテーマでスピーチし、日本の労働環境は改善されてまだまだ成長できること、今年6月に大阪で開催されるG20(主要20カ国・地域首脳会議)に向けても日本が経済をリードしていくことなどをアピールしました。わが国のトップが世界に向けてポジティブな発信をすることは、日本のプレゼンス向上につながり、私たち経済人にも力強い後押しとなります。

 個別のセッションでは、喫緊の課題である脱プラスチックをテーマに話し合ったほか、関係閣僚の方々とも間近で議論をすることができたので政・官・民の距離がグッと縮まったように思います。

 世界に目を転じると、今年もダボス会議における中国の勢いを感じました。王岐山(ワン チー シャン)国家副主席は、自国の経済成長をしっかり推進出来ると自信満々に語り、大国の存在感が伝わってきました。夜にはメイン会場前のフロアが赤に彩られ、屋台がならび、人が集まる。世界各国から注目を浴びていました。

 一方、ヨーロッパ陣営には少し焦りがあるように感じました。英国のEU離脱問題もあり、ヨーロッパ経済全体が不安定さを増すなかで、政治状況が芳しくない国も多い。イニシアチブを取るべき環境問題でも、中国に押されている印象でした。

 各国トップの発言や雰囲気からも、世界経済の流れは垣間見えます。私たちのビジネスも、この流れに乗り遅れないように、日々、努力していかなければなりません。

AERA 2019年3月4日号

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竹増貞信

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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