●人生をかけて自分が正しいと思うように生きる

 警察庁によると、中核派の活動家は現在約4700人。

「中核派の言っていることは、論理として筋は通っている。それが『過激』だとしても、論理として筋が通っている以上、断固やっていきたい。内ゲバは、カクマルをのさばらせていては日本の左翼運動は壊滅していた、カクマルとの戦争はやるべきだった、と考えています」(高原)

 中核派全学連は、中核派の下部組織の位置づけで、大学自治会による連合組織だ。ピークは60年代後半、ベトナム戦争反対などの運動を通し、新左翼各派の学生たちによる大学紛争は燎原(りょうげん)の火のように全国に広がった。ヘルメットにゲバルト棒というスタイルが学生運動の定番になった。しかし内ゲバや武装のエスカレートなどで急速に支持を失う。学生活動家は少数となりイデオロギーによる左右対立も終焉(しゅうえん)を迎えた今、若者が革命運動に身を投じるのは、なぜか。

 京大法学部1年の加藤一樹(いつき=19)も昨春、中核派全学連に加わった。

「今の体制ではなく別の体制を構築すると言い切っていた中核派にも魅力を感じ、共感しました」 

 まだあどけなさが残る顔で話す。

 中学のころから搾取によって成り立つ既存の社会はおかしいと思い、将来は政治家になって世の中を変えようと考えていた。私立の海城高校(東京都)を卒業し、昨年現役で京大に入学すると理不尽を目にした。

 5月中旬、大学による立て看板の撤去だ。理由を大学側は「景観」と説明したが、外に見えないキャンパス内の立て看板も撤去の対象になった。目の前の不条理を知った時、「違う」と思い、間違っているのは大学側だと気づいた。

「立て看板の規制を許さないと言っていたのが、京大の全学自治会同学会でした。同学会は中核派で『過激派』というレッテルを貼られて普通の人は近寄らないようにしていた。僕も、政治家になりたかったので公安にマークされたら政治家になれないと思っていて、近寄ったら自分の人生は終わるぐらいに思っていたんですけど(笑)」

 だがレッテルはどうであっても、正しいことを言っている。同学会に行き、全学連に加入。昨年9月の中核派全学連大会では、書記長に就任した。

「自分が正しいと思うように生きるのは、息をするのと同じこと。自分が生きているうちに革命を起こしたいと思っている。人生をかけてやる価値はあると思います」

 では、暴力を肯定するのか──。

 先の高原も加藤も、中核派が掲げる「暴力革命」の「暴力」とは、「軍事力」で国家転覆を狙うものではなく「実力」というのが最も近いイメージだと話す。そのためにまず職場でゼネストを実施し、暴力装置の象徴でもある自衛隊員、そしてすべての職場で働く労働者を獲得、政治を奪還して労働者階級が主人公の社会を築くのだという。

 革命家として生きていく、と2人は断言し、ともに将来は弁護士を目指したいと話した。

「法曹でも間違っていることを間違っていると言えるのは弁護士だけ。法律を武器に闘いたい」(加藤)

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