大学改革の一環では、入試改革と共に財務基盤の強化も目標に。米名門大学の資金運用などをモデルにしている(撮影/写真部・加藤夏子)
大学改革の一環では、入試改革と共に財務基盤の強化も目標に。米名門大学の資金運用などをモデルにしている(撮影/写真部・加藤夏子)

 センター試験に代わって大学入学共通テストが実施されるなど、2020年度以降、大学入試が大きく変わる。名門私立大学であり、何かと対比される早稲田大学と慶應義塾大学は、この入試の転換期においても、真逆の方針をとっているという。

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 現行の知識偏重の入試では国際的な競争の中で立ち行かない、少子高齢化で人材の質を高めないと社会の発展は望めない──。こうした観点から、大学入試改革は進められてきた。

 その柱は、センター試験に代わり、21年1月に実施される共通テストの導入だ。これまでの知識詰め込み、暗記重視からの脱却を図る。各大学も教育目的や特色を踏まえた入学者受け入れ方針(アドミッションポリシー)に基づき、改革を模索している。

 その中でも、早稲田の改革は明確で特徴的だ。

 最大の特徴は、大学間で利用するかどうかの判断が分かれる共通テストを、積極的に利用しようとしている点だ。政治経済学部のほかにも、国際教養学部、スポーツ科学部で共通テストの導入を発表。現状でセンター試験利用入試を行っている学部では、共通テストを導入していく予定だという。

「政治経済学部の場合、基礎的学力は大学入学共通テストで見て、入学後の学びの準備がどのくらいできているかは学部独自試験で見ます」(同)

 早稲田と対比される慶應義塾大学は全く逆の選択をし、全学部において共通テストを利用せず、各学部のアドミッションポリシーに則った独自の入学者選抜を実施するとした。

 この早慶の対応の違いについて、大学通信の安田賢治・情報調査・編集部ゼネラルマネージャーはこう語る。

「センター試験を利用することで、地方からの志願者が増えたことが大きい。早稲田はセンターに続く共通テストも利用して、地方の学生を集めたいという狙いがあるのではないか」

 安田さんによると、90年にセンター試験が始まった時、最初に参加したのは慶應の法学部と医学部だった。この時、早稲田は参加していない。

「当時の私大では、センター利用は偏差値輪切りの政策に巻き込まれるという思いがあって、大学側は反対していました」(安田さん)

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