藤井:「富の分散」という意味では、ファッション界も1回壊れちゃったんです。11年の震災前、ファストファッションに押されて大手セレクトショップの価格帯がおかしくなってしまった。売れないと意味がない、品質が悪くてもユニクロに対抗しないといけないと。そっちに流れるのは思想がなくなってしまうことなので、まずいなって感じていました。ビームスやユナイテッドアローズもそうした経験を経て、電力のこともしっかり考えるスタイルを確立したのだと思います。

大石:さきほど藤井さんがおっしゃった「日本製にこだわる」というのと共通するかもしれませんが、顔の見える生活こそ、今求められているんじゃないかな、と思っているんです。食べ物もファッションや電気も生産者の顔を知りたい。私たちはそんな生活をどんどん進化させたいと思っています。

藤井:実は太陽光の自家発電を検討しています。うちは洋服店だけでなく、コーヒーショップや事務所、オンラインストアの倉庫もあります。電気を変えるだけでなく自ら供給できるようになれば、まさに「ポジティブエナジー」になります。中学1年の長女はSNSのフォロワーが300人いますが、どんな投稿にも必ず100人の「いいね!」がつきます。これって強くないですか? 最初は少数でも確実に知ってもらうのが大事。僕らみたいなちっちゃいのがいっぱい集まれば結構強いかなって。

(編集部・渡辺豪)

AERA 2019年1月21号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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