AERA 2019年1月21日号より(撮影/高橋有紀)
AERA 2019年1月21日号より(撮影/高橋有紀)
AERA 2019年1月21日号より(撮影/仲宇佐ゆり)
AERA 2019年1月21日号より(撮影/仲宇佐ゆり)

 動画ひとつでスターになれる、可能性を秘めた仕事、YouTuber。しかし、人気YouTuberになるためには様々な決断や勇気が必要なことも。YouTuberたちに動画制作の裏側を聞いた。

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 テレビ番組が東京など大都市から発信されるのとは違い、どこからでも人気企画が生まれているのもYouTubeの特徴だ。

「釣りよかでしょう。」は佐賀に住む釣り好きの7人が、釣りを中心としたアウトドアに挑戦し、大自然を楽しむ様子を配信するチャンネル。チャンネル登録は100万を超え、釣り好きだけにとどまらない視聴者がいる。もともと、ゲーム好きなよーらいさん(35)が、09年頃からニコニコ動画でゲーム動画の配信をしていた。

「あるとき、夏休み企画として、クワガタ捕りをする動画を上げたら、評判がよかったんです」

 それが佐賀の自然の魅力を発信する「佐賀よかでしょう」となり、現在の「釣りよか」へと進化。釣り場でたまたま出会い、いつも一緒にいる仲間がメンバーとなり、増えていった。

 何をするにも「一番になりたいタイプ」だというよーらいさん。誰よりもおもしろいものを作りたいと思いながら、動画を作り続けてきた。とはいえ、釣りよかのなかに過激な動画は登場しない。

「過激なことをしたり、言っちゃいけないことを言ったりしておもしろくする人もいますけど、それは誰がやってもおもしろいし、実力ではないのかなと思うんですね。視聴者はすぐに慣れるので、もっともっと過激に、と(歯止めが)きかなくなる」

 なかにはそうして行き詰まり人気が落ちていくYouTuberもいる。釣りよかも、1年ほど前にその岐路に立たされた。

「クロマグロを釣っちゃって、もう釣る魚がいなくなったんです。お金を使って、海外ですごい船で釣りをするとかも考えたけど、やめました。あの岐路で間違えてたら、再生数は減っていってたかもしれない」

 悩んだ結果、派手さを求めるのではなく、自分たちが楽しむところを見せる方向に原点回帰した。一度針にかかった獲物を誰かが逃せば、からかいあい、釣れればみんなで拳をあわせてグータッチ。カメラ担当も途中で我慢しきれず、「おいもそろそろカメラ置いて釣ってもよか?」と参入。大自然以上に、彼ら自身が自然体なのだ。釣れた魚は自分たちでさばいて料理し、おいしく食べる。

「うちの目的は、釣りというより食べること。いかにおいしい魚を釣るかなんです。YouTubeって、原始的なもの、生活の中で誰もがする内容の動画が伸びる。料理もそのひとつ。釣り好き以外の人にも見てもらえる理由じゃないかと思います」

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