具体的には、北海道の宿泊を伴う旅行の宿代を1泊につき2万円まで最大5割引き、周遊型のツアーの場合は1人につき3万5千円まで最大7割引きで利用できる。実施期間は19年2月末まで。認定を受けた宿泊予約サイト、旅行会社からの申し込みに限る。観光復興が目的なのでビジネス利用は対象外、といった制約はあるが、大手旅行会社JTB広報部によると、「北海道ふっこう割」の発売日にはネット、店頭ともに申し込みが集中。ネットでは初日にJTBの割り当て分が完売したという。

 こうした施策が功を奏し、国内旅行者については、ほぼ平年並みの水準まで回復した。しかし、韓国など地震がめったにない国からの団体旅行客については苦戦を強いられている。

 前出の男性のホテルも「北海道ふっこう割」の恩恵を受け、一度は白紙になった宿泊予約も前年比7割まで回復。しかし、急場こそしのいだものの、余震が起きる度に拭えない思いがこみ上げる。

「震災から3週間後には日常生活を取り戻しました。本当は胸を張って、ぜひお越しくださいと呼びかけたい。けれども、本当に大丈夫ですか、という問い合わせに、大丈夫と断言したいのにできない自分がいるのも事実。余震の度に今でも悔しい思いをしています」

(編集部・中原一歩)

※AERA 2018年12月24日号より抜粋