ゴーン解任した日産をルノー筆頭株主の仏政府が牽制 欧州で広がる陰謀論 (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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ゴーン解任した日産をルノー筆頭株主の仏政府が牽制 欧州で広がる陰謀論

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山本大輔AERA
仏パリ郊外にあるルノー本社 (c)朝日新聞社

仏パリ郊外にあるルノー本社 (c)朝日新聞社

 ルノーの筆頭株主として3社連合の経営に介入を強める仏政府と、政府の影響力を最小限にとどめたいゴーン氏の間には、考え方に決定的な違いがあった。独立した企業が経営資源を互いに補う「緩やかな連携」で成功モデルをつくり出し、「ゴーン王国」を築いてきた会長に対し、仏政府はルノー中心の経営統合を通して仏国内の景気雇用対策に役立てるという自国経済第一主義を全面に押し出していた。

 いかに利益を生み出すかが全ての経営者としての考え方と、国民の税金を資本金として投入する以上は国民の利益に還元できる結果が必要な政府の考え方がすれ違うのは当然だ。仏政府からの圧力をいなしながら「緩やかな連携」を貫いてきたゴーン氏だが、国が企業の筆頭株主に君臨するといういびつな関係の中、相次ぐ閣僚の辞任や低支持率、高失業率に悩むマクロン政権の浮揚を経済に見いだそうとする仏政府の介入は強まる一方で、ゴーン氏もいなしきれなくなってきていた。

 さらにフランスでは14年、上場企業の株式を2年以上保有する株主に2倍の議決権を認める「フロランジュ法」を制定。ルノーにも適用されている。仏政府にしてみれば、ルノーにおいて保有株式の倍の議決権があることになり、ゴーン氏にとってはやっかいだ。日産もルノーに15%出資しているが、そもそも議決権がないため、ルノーの意思決定には関われない。

 3社連合の経営方針をめぐる仏政府の介入とゴーン氏の決断の行方は、日本の企業である日産や三菱自、さらには日本政府にも大きな懸念材料だった。英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は20日の電子版で、ゴーン氏がルノーと日産の経営統合を計画し、日産上層部も情報をつかんでいたと報じた。数カ月以内に実行可能性があるとして、西川広人社長ら日産側との間で緊張が高まっていたという。

 経営方針をめぐる「政治」や「対立」が背景にある中で起きたのが、 東京地検特捜部によるゴーン容疑者の逮捕だった。「会長」の呼称が一気に「容疑者」に変わったゴーン氏の容疑は、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)。日産自動車での自らの報酬を過少に申告したなどの疑いで捜査が進められている。


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