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要介護でも働き続ける 厚労省との交渉で実現した有償ボランティア

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村田くみAERA#シニア#働き方

町田市のデイサービス「DAYS BLG!」に通い始めて5年になる村山明夫さんは、ほぼ毎回午前中洗車の仕事を行う。仕事をするようになって笑顔が増えた(撮影/写真部・小山幸佑)

町田市のデイサービス「DAYS BLG!」に通い始めて5年になる村山明夫さんは、ほぼ毎回午前中洗車の仕事を行う。仕事をするようになって笑顔が増えた(撮影/写真部・小山幸佑)

介護保険がスタートした2000年と現在の比較(AERA 2018年11月12日号より)

介護保険がスタートした2000年と現在の比較(AERA 2018年11月12日号より)

 今年7月、厚生労働省は認知症の人の有償ボランティア参加を後押しする通知を出した。背景には「働く」ことが大切なケアの一つだという社会の意識の変化がある。どんな人が「役に立ちたい」思いをかなえているのだろう。

【増え続ける介護の実態データ】介護保険がスタートした年と現在の比較はこちら

*  *  *
 ある平日の午前11時。自動車販売店「ホンダカーズ東京中央・町田東店」(東京都町田市)に、ワゴン車が到着し、赤いジャンパーを着た男性5人が次々と降りてきた。慣れた手つきでホースから水を6台の展示車にかけると、布で丁寧に拭き上げていく──。

 作業をするのは同市のデイサービス「DAYS BLG!(デイズビーエルジー)」(略称BLG)に通う認知症の当事者たち。月曜から土曜まで入れ替わりで洗車を担当する。

「仕事のコツはね、丁寧に拭くこと」

 中心となって作業を行う村山明夫さん(67)は、逆さまにしたビールケースの上に乗り、車の屋根や窓、ドアの縁などを拭き上げていく。ほかのメンバーも黙々と作業をこなしていた。約30分後、6台の車はピカピカになった。

「外での作業はだいぶ楽になりましたが、今年の夏は厳しい暑さでしたね。ホースの水が凍ったときは作業ができませんでしたが、夏でも冬でも作業に休みはありません」

 そう語るのは、BLGを運営するNPO法人「町田市つながりの開(かい)」理事長の前田隆行さん。

 元々、車の洗車は自動車販売店の社員の仕事だったが、前田さんが1年半にわたる交渉の末、獲得した仕事のひとつ。全員で1カ月3万円の謝礼を受け取る。参加人数で割ると数百~数千円程度だが、仕事に対する対価としてメンバーが受け取る。

 一般的なデイサービスは、食事や入浴などの介護や機能訓練など介護保険のサービスを日帰りで受け、塗り絵や合唱などレクリエーションも楽しめる。自己負担は1~3割で、利用範囲は要介護度によって異なる。

 一方、BLGが提供するのはそうした介護ではなく、「働く機会」だ。働き手でもあるのでここでは「利用者」ではなく「メンバー」と呼ぶ。ほかにも、フリーペーパーのポスティング、野菜の配達、花壇の手入れ、学童保育での紙芝居、子ども会で配るお菓子の袋詰めなど、有償、無償問わず地域からの仕事依頼が増え続けているという。


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