ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
(c)朝日新聞社
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 経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。

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 我々がビジネスを始める時に必ずする質問があります。

「あなたは10人中7~8人に反対される『仕事』していますか?」

 特に、一緒に地方再生の仕事をしている仲間と常に問い合うのがこのポイントです。

 日本では合意形成を求める無言の圧力がある。この呪縛がどこかにある限りは、良い事業ってのは基本的に不可能です。スティーブ・ジョブズが人間的には最低だった、とか後から批判するのは簡単ですが、あれだけの事業を起こしたわけですよ。ところが日本では、新しいビジネスをやろうと言っているのに、なぜか頭のどこかで多くの人の賛成を得ようとする意識と傾向が非常に強くなります。みんなの意見を聞こうとか、多くの人と友達になろうとかいう教育のせいなのか……。

 実は昔からこの点を指摘しておられた先人がいます。クラレ、クラボウの社長となり、労働科学や大原美術館などの社会貢献を多数実行し、実業界では異端とされつつも、真の資本家と尊敬されるユニークな存在、大原孫三郎であります。彼の言葉によると、

「10人の人間の中、5人が賛成するようなことは、たいてい手遅れだ。7、8人がいいと言ったら、もうやめた方がいい。2、3人ぐらいがいい、という間に、仕事はやるべきものだ」

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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