1991生まれ、インド出身新人監督が死を通して描いた親子の心の通い合い (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

1991生まれ、インド出身新人監督が死を通して描いた親子の心の通い合い

このエントリーをはてなブックマークに追加
木津毅AERA
Shubhashish Bhutiani/1991年、インド・コルカタ生まれ。ニューヨークで映画制作を学び、短編「Kush」で注目を集める。初長編「ガンジスに還る」が世界で称賛を浴びた

Shubhashish Bhutiani/1991年、インド・コルカタ生まれ。ニューヨークで映画制作を学び、短編「Kush」で注目を集める。初長編「ガンジスに還る」が世界で称賛を浴びた

「ガンジスに還る」/神秘的なガンジス河やバラナシの町の活気を収めた叙情的な映像にも注目。10月27日から東京・岩波ホールほかで全国順次公開 (c)Red Carpet Moving Pictures

「ガンジスに還る」/神秘的なガンジス河やバラナシの町の活気を収めた叙情的な映像にも注目。10月27日から東京・岩波ホールほかで全国順次公開 (c)Red Carpet Moving Pictures

「めぐり逢わせのお弁当」/発売・販売元:東宝、価格3800円+税/DVD発売中 (c)AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC,Rohfilm - 2013

「めぐり逢わせのお弁当」/発売・販売元:東宝、価格3800円+税/DVD発売中 (c)AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC,Rohfilm - 2013

「この映画を通して、家族に対してより寛容になることができました。一方で、ある意味で恐怖を覚えるようになりました。それまでは死を身近には感じていませんでしたが、自分にとってより真実味を持つものとなったからです。もっとも恐ろしいことは、家族や親しい人、愛する人を喪うことだと学んだのです」

 死を通して親子の心の通い合いを描く本作は、見事に人生の普遍を射抜いているのだ。

◎「ガンジスに還る」
神秘的なガンジス河やバラナシの町の活気を収めた叙情的な映像にも注目。10月27日から東京・岩波ホールほかで全国順次公開。

■もう1本 おすすめDVD「めぐり逢わせのお弁当」
 インド発の良質な人間ドラマとしてもう一本取り上げたいのがこの作品。じつに落ち着いた演出で、大人同士のほのかな恋模様を描いている。

 インドの大都市ムンバイ。主婦イラは家庭を顧みない夫との関係を修復するために弁当作りに精を出している。あるとき、配達サービスが間違えて弁当を気難しい初老の男サージャンに届けてしまう。だが、彼は料理を気に入り弁当をすっかり平らげるのだった。やがてイラは手紙を通して悩みを打ち明け、ふたりの心の距離は近づいていく。

 仕事ばかりで精神が消耗しているサージャンや、家庭に閉じこめられて寂しい思いをしているイラの姿は、発展し続けるインドの現実を反映したものだろう。だが、ふたりの孤独は多くの人が共感するものではないか。本作が世界でヒットしたのは、インドの社会背景をしっかりと織り込みながらも、普遍的な人間心理を描ききったからだろう。ビッグで華やかなイメージのインド映画だが、滋味深い小品もまた魅力的なのだ。

◎「めぐり逢わせのお弁当」
発売・販売元:東宝
価格3800円+税/DVD発売中

(ライター・木津毅)

AERA 2018年10月29日号


トップにもどる AERA記事一覧

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい