日銀バブルの末路 なぜスルガ銀は不正融資に走ったのか

2018/10/24 07:00

10月15日朝、東京・日本橋のスルガ銀行東京支店前。億単位の借金を返せなくなった会社員たちは将来が見通せなくなった (c)朝日新聞社
10月15日朝、東京・日本橋のスルガ銀行東京支店前。億単位の借金を返せなくなった会社員たちは将来が見通せなくなった (c)朝日新聞社
10月5日、金融庁の一部業務停止命令を受けて謝罪するスルガ銀行の有国三知男社長(手前)ら。自力で経営を立て直すのは簡単ではない (c)朝日新聞社
10月5日、金融庁の一部業務停止命令を受けて謝罪するスルガ銀行の有国三知男社長(手前)ら。自力で経営を立て直すのは簡単ではない (c)朝日新聞社
2期目の任期に入った日銀の黒田総裁。記者会見などで情報発信する機会はあっても、国民の疑問に正面から向き合っているとは言い難い (c)朝日新聞社
2期目の任期に入った日銀の黒田総裁。記者会見などで情報発信する機会はあっても、国民の疑問に正面から向き合っているとは言い難い (c)朝日新聞社

 スルガ銀行の不正融資で多くのサラリーマン大家がどん底に落ちた。彼らをシェアハウス投資に駆り立てたものとは何だったのか。

【写真】金融庁の一部業務停止命令を受けて謝罪するスルガ銀行の有国三知男社長ら

*  *  *
「スルガ銀行は謝罪しろ~」

「不正融資は無効だぁ~」

 10月15日午前8時。東京・日本橋に立つスルガ銀行東京支店の前で、この日もシュプレヒコールがこだました。のどをからして声を上げるのは、シェアハウス投資にはまった60人余の会社員の大家たちだ。

 彼らは、スルガ銀で億単位のお金を借り、木造シェアハウスを相場より3~5割も高い価格でつかまされた。「30年家賃保証」で年8~9%の高利回りとの触れ込みで、冷静になれば無理筋と気づくが、じつに1200人超が年収の10倍を超えるような借金を背負い込んだ。

「バブル」とは、「もっと価値が出る」という幻想や錯覚に踊らされ、実体とかけ離れた価格の資産にお金がつぎ込まれる様を指す。シェアハウス投資もその典型だ。

 ただ、会社員の大家たちに、かつてのバブルのような熱狂(ユーフォリア)はない。高級ブランドにあふれる金満な生活を欲したわけではない。不動産価格が上がり続ける神話を信じ込んだわけでもない。

 彼らが口にした動機は一つ、「将来への不安」に集約できる。仕事はあっても給料は増えない。社会保障費は年々重くなる。高齢者の負担増も避けられず、年金もあてにならない。老後も安定した生活を送りたいという渇望が、会社員たちを“利回りの罠”へといざなったのだ。

 たとえば50歳間近の男性には3歳の子どもがいた。子どもが大学卒業を迎えるのは70歳の頃。今の年収は900万円だが、ピークは近い。子どもを安心して大学に通わせたい。そんな思いでシェアハウス投資を決断したが、昨秋に2億円を借りて数カ月もしないうちに破産と離婚の危機に直面した。

 スルガ銀には10月5日、金融庁が6カ月の一部業務停止命令を下した。融資の現場で、預金通帳や源泉徴収票を偽造する不正が横行。年収や貯蓄を水増しし、本来は条件を満たさない顧客らにお金を次々と貸し込んでいた。一連の不正は銀行が「組織的」に加担していたと認定された。

 スルガ銀がシェアハウスの危うさに気づきつつ、悪徳業者を抱き込んで不正を加速させたのは2015年。強引な貸し込みは17年後半まで続く。他の銀行がここ数年アパートローンやカードローンの拡大に参入し、客の奪い合いが熾烈を極めるなか、スルガ銀は不可能なノルマを現場に押しつけ、壮絶なパワハラで行員を不正へ走らせた。

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