左から時計回りにドラム担当Mark(21)、ベース担当JK(21)、ギター担当Hank(21)、ボーカル/ギター担当のShawn(19)。初のフルアルバム「LION」を9月5日にリリース(撮影/写真部・小原雄輝)
左から時計回りにドラム担当Mark(21)、ベース担当JK(21)、ギター担当Hank(21)、ボーカル/ギター担当のShawn(19)。初のフルアルバム「LION」を9月5日にリリース(撮影/写真部・小原雄輝)

 日本で知名度ゼロから半年でオリコンチャートにランクイン。台湾のオーディション番組から生まれた4人組が上昇気流に乗っている。

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「ありがとう、謝謝!」

 中国語交じりのトークに、東京・池袋のCDショップの一角に設けられたライブ会場の熱量がぐっと高まる。10代から40代を中心とした女性たちが、掛け声を合わせ、体を揺らす。

「都内でライブがあるたびに応援に来ている」という埼玉県在住の女性は、約1年前にCDを買いに店を訪れた時、メンバーに偶然手渡しされたチラシを見て、noovy(ヌーヴィー)を知ったという。

「アップテンポのEDMやK-POPとは異なる、癒やし系のサウンドが心地いいんです」

 昨年9月の日本メジャーデビュー以来、ファーストシングル「Garage」とセカンドシングル「Singin’for you」がそれぞれオリコンデイリーチャート12位と9位にランクインする注目のバンド。だが、デビューまでの道のりは、想定外の出来事と試練の連続だった。

 原点は2014年、「台湾・日本で活躍できるスター」を発掘すべく、台湾で開催された大型オーディションで合格したことだ。ところが「友達についていったら受かった」というShawn(ショーン)をはじめ、「日本デビューを前提にしているとは知らなかった」とメンバーは口をそろえる。いわば「無欲の勝利」だった。さらにモデルやソロ歌手としての活動を夢見ていた4人は、所属した台湾の芸能事務所に「バンドを組んでみたら?」と提案されてビックリ。「バンドのことはよくわからないけど、面白そうだから挑戦してみようかな」(Hank(ハンク))と、グループ結成を決めたものの、事務所が貫いたのは「バンドとは、自分たちで模索するもの」という、徹底した見守り主義だった。

 台湾ではジェイ・チョウのようなソロ歌手が王道で、最近はK-POP風の曲やラップが人気。若手のインディーズバンドはほぼ皆無でロールモデルが存在しない。4人は台北市内の駅前でワン・ダイレクションなどのカバーを演奏してみたものの、大きな手応えは感じられず。

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