大ヒット漫画『BEASTARS』 着想を得たのは“小学2年生”の時だった (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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大ヒット漫画『BEASTARS』 着想を得たのは“小学2年生”の時だった

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熊澤志保AERA

撮影/写真部・大野洋介

撮影/写真部・大野洋介

自宅兼仕事場。「どんな場所、時間、空気にキャラがいるかを伝えたい。だから、スタッフさんに背景を描き込んでもらうことが多いです」(板垣さん)(撮影/写真部・大野洋介)

自宅兼仕事場。「どんな場所、時間、空気にキャラがいるかを伝えたい。だから、スタッフさんに背景を描き込んでもらうことが多いです」(板垣さん)(撮影/写真部・大野洋介)

 漫画『BEASTARS(ビースターズ)』は、肉食獣と草食獣が共存するチェリートン学園で、狼のレゴシを中心に描かれる青春群像劇だ。作者は25歳の新人漫画家。大ヒット中の同作は、どのような現場で生まれているのか。

【写真】自宅兼仕事場の様子


*  *  *
 自宅兼仕事場で、板垣巴留(ぱる)さんが語り出した。聞いているのは、週刊少年チャンピオン編集部の担当編集者(42)だ。

板垣:今回はピナの話。演劇部で、死に神に魂を奪われる男の子役に抜擢されて。自分の死を一瞬見ちゃったピナが、リズの視線も感じながら稽古で迫真の演技を見せる。いい加減でチャラいと思われていたピナが、見直されるんです。

編集者:ピナもロックオンされているもんね。レゴシには戦うモチベーションがあるけど、ピナは草食だし。見せ場は?

板垣:稽古中、ピナが生きる意思を表明するところを見開きでバーンと見せたいな。

 2人の間で、メモもなくすらすらとやり取りされているのは、作品の重要なプロットだ。

 2016年の秋から連載を開始した『BEASTARS(ビースターズ)』。ハイイロオオカミのレゴシ、アカシカのルイ、ドワーフウサギのハル、ドールビッグホーンのピナ、ヒグマのリズ。動物たちが通うチェリートン学園の演劇部を舞台に繰り広げられる物語は累計発行部数180万部を超え、今年の「マンガ大賞」「手塚治虫文化賞新生賞」を受賞した。

 さまざまな動物が学園生活を送るという設定は、一見ユートピアめいている。が、作中の肉食獣と草食獣の間には、喰う者と喰われる者という関係性の大きな壁が立ちふさがる。

 板垣さんは現在25歳、これが初連載作となる新人漫画家だ。美大で映画を学んだが、完成までの膨大な労力を知り諦めた。漫画なら、紙とペンで似たことができる。就職し、落ち着いたら漫画を描こうと考えたが、「就職に失敗」。持ち込んだ漫画が、秋田書店の編集者の目に留まった。

 16年3月、読み切りとして掲載された『BEAST COMPLEX』は、『BEASTARS』のひな型ともいえる作品だ。プロデビュー作ながら、読み手や漫画家たちの注目を集めた。あまりに独創的な世界が広がっていたからだ。


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