「腐ったりもしていましたよ。世の中も大人も全部ナナメに見ていました」

 蜷川幸雄演出の舞台では、台詞を半分にカットされたことも。映画に出演しても、ワンシーンだけということもしばしば。舞台で女形を演じたことも、テレビドラマで女装を披露したこともある。

「だから、僕にとっては“人間の男”ってだけで随分と役柄が狭まったなって(笑)」

 プライベートでは、今も“年齢確認”をされることもあるとか。半年ほど前、タバコを買おうとして年齢を尋ねられた。

「免許証見せたら、『ごめん、ごめん』って。『童顔だからねー』と返しましたけれど」

 会話の端々にユーモアが溢れる。飄々としていて、どこか他人事みたいだ。そんなつかみどころのない魅力が、この人にはある。(文中敬称略)(ライター・古谷ゆう子)

AERA 2018年9月10日号