心の拠り所として身近に置いておくだけでなく、将来、科学技術の発展が進めばDNA情報から故人の姿をバーチャルに立体再現する技術が生まれるかもしれない。たとえば、まだ若くして亡くなった子息が20歳を迎えたとき、どんな姿になっているかを予想再現できれば、亡くなった我が子と、再び、仮想現実の世界ながら感動的な対面を果たせる可能性もある。

 まだサービスを開始したばかりだが、顧客からは早くも問い合わせが来ているという。その内容はというと、「難病の家族がいるが将来、医療が発達して原因や対処法がわかる可能性はありますか?」「自分がどういう状況で死ぬのかわからないから、もしものときのために今からDNA情報を保存しておきたい」「DNAフォトスタンドをお墓や仏壇の代わりとして使うことはできるか」といった切実なものが多いという。

 バイオや人工知能の技術が発達した今、故人を敬い、しのぶ行為にも、どんどんIT化の波が押し寄せている。この流れはごく自然なことかもしれない。(経済ジャーナリスト・安住拓哉)

※AERA 2018年8月13-20日合併号より抜粋

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安住拓哉

安住拓哉

出版社勤務を経て2021年に独立。経済関連記事全般が得意。取材・執筆歴20年以上。雑誌の取材記事の他、単行本のライティングも数多く手掛ける。

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