One Tap BUYは、この壁を取り払った。同社が持つ在庫をシェアする形で、株数を気にせず、1千円単位で好きな金額分を購入できるのだ。

「取引の元手となる種銭を持っていない人も、投資に入ってきてほしい。1千円単位での取引は、その思いからです」(林さん)

 スマホも、株との相性がいいという。林さんは続ける。

「若年層とスマホの相性がいいのはもちろん、実は株とスマホも相性がいいんです。数人で共有することもあるPCに比べ、スマホは完全に個人に属します。お金の情報をやり取りするのに抵抗を感じづらいのです」

 初心者でも扱いやすいシンプルさ、1千円から取引できる手軽さ、24時間売買可能で、ベッドの上でも電車の中でも取引できる便利さ。若年層の取り込みに成功しつつあるスマホ証券は、今後の株投資の姿を大きく変えるかもしれない。(編集部・川口穣、ライター・田茂井治)

AERA 2018年7月9日号

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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