この商品は純資産残高ランキングでも、年2回分配金が支払われるタイプと、年1回タイプがともに5千億円を突破してトップ10入り。AI、ロボティクス、モビリティー、IoT、フィンテック、バイオ、ヘルスケアは昨今の投資を支える“流行”なのだ。

 大阪府在住の65歳の男性Bさんも次のように話す。

「昔から付き合いのある証券会社の勧めでブラジル・レアル建て債券をサッカーW杯が開催された14年に買ったんです。16年にはオリンピックもあるし3年満期なら大丈夫だろうと思ったら、そのあと下げっぱなしで最終的に20%以上のマイナス。それで配置換えで新しく入った営業マンが『損失を取り返しましょう』と提案してくれたのが、AI関連の投信でした」

 Bさんは昨年9月にAI関連のテーマ株投信を100万円分購入。結果的に、この投資は大成功を収める。基準価額1万3300円で購入したものが、今や1万6000円を超えている。ブラジル・レアル建て債券の損失を半年ほどで取り返したという。

「営業マンも口がうまい。『あいつは社内でも評判悪いんですよ~』と、レアル建て債券を勧めた前の営業マンの悪口を言いながら、『僕に任せてください』と話すの。実際、調子がよかったので、買ってから2倍近くに増えていた『日興グローイング・ベンチャーファンド』を解約して、300万円を先週AIファンドに追加投資しました」

 同ファンドは直近で高値を更新中だ。Bさんは高値圏で投資額を4倍に増やした格好。「この先、AIはまだまだ伸びる」と証券マンのように楽観視している。

 だが、実はテーマ株ファンドはいずれも“旬”が過ぎるのが早い。楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏が話す。

「最も買ってはいけない金融商品の一つです。その理由は3点。まず分散投資になっていない点。次にブームは必ず変わる点。そして、信託報酬をはじめとした投資コストが非常に高い点が挙げられます」

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