旬を過ぎたある証券会社系運用会社のエコファンドの例(AERA 2018年7月9日号より)
旬を過ぎたある証券会社系運用会社のエコファンドの例(AERA 2018年7月9日号より)

 AI、IoTなど特定分野の株に集中投資する「テーマ株投信」が人気だ。急な値上がりが魅力だが、専門家は「買ってはいけない」と指摘する。

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「担当者は『この先も高い成長が見込める』と言ってたんですが、買ったときがピークでした」

 こう話すのは千葉県在住の67歳の男性Aさん。3年前に勧められるがまま購入したのは、先進国の製薬会社やヘルスケア関連企業、バイオベンチャーなどに投資する投資信託(ファンド)だった。

「個人向け国債が満期を迎えるタイミングでメガバンクの担当の人に勧められたんですよ。2015年のことです。オバマケアの影響でアメリカがヘルスケア投資をどんどん増やしている、その前の年には『ヘルスケア全体で30%も伸びた』とか言ってたんですけどね……」

 400万円分購入した固定金利型5年満期の個人向け国債が償還時期を迎えたため、その半分を同ファンドに投資。残り半分を国債に再投資したという。

 ところが、15年に基準価額1万80円で購入した同ファンドはその後ズルズルと下げ続けて16年後半には8000円割れに。17年に入って持ち直したが、直近でも1万円割れの水準だ。16年以降は分配金が出ておらずトータルの運用利回りはマイナス2%程度。同時期に購入した国債の利回りを加味しても、わずかにマイナスだという。

 近年、このような成長分野に集中投資する“テーマ型ファンド”が再び脚光を浴びている。

 モーニングスターによると、TOPIXや日経平均をベンチマークにするファンドやREITを除いた“アクティブファンド”の5月の資金流入額トップは、世界のIoT(モノのインターネット)関連企業に投資する商品で、17年12月の設定以来6カ月連続で流入超過が続く。

 5位には「MaaS(サービスとしてのモビリティー)関連企業に投資する商品がランクイン。7位にはロボット関連やAI開発企業に投資する商品が登場する。

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