山田さんの著書『フリーランスがずっと安定して稼ぎ続ける47の方法』(日本実業出版社)には、稼ぎ続けているフリーランスに共通する三つのタイプが解説されている。スキルを追求する「職人ポジション」、人に頼られる「相談役ポジション」、そして、あるジャンルのカリスマとしてコアなファンを獲得している「城持ちポジション」だ。

 山田さんは、このどれかひとつのタイプで終わってしまうのではなく、三つを掛け合わせることが重要だと話す。自身もスキルを磨きながら、人脈を増やして頼られる存在になり、同時にSNSなどでコアなファンも増やしてきた。

 そうしたバランスのいい「戦闘力」のほかにも秘密はあるのだろうか。改めてご本人にも聞いてみた。成功するフリーランスの極意とは。

「私はそもそも“リスト魔”。なかでもオススメは、その日のやるべきことリストと、やりたいことリストの作成です」

 同時に、その日の実際の行動も細かくリストアップし、それぞれがズレていないかを繰り返し検証するという。感覚だけで行動しがちなフリーランスには、「自己統制力が必須」だという。

 ちなみにこの日の「やるべきこと」は、「書籍の原稿チェック」「AERAの取材準備」など。一方、「やりたいこと」には、「子どもに本を読んであげる」「妻に感謝の言葉をかける」といった文言が並んでいた。

「会社員」が合わずにフリーランスという働き方を選択した山田さんに対し、10~15年後の独立を目指して、複数の会社を戦略的に渡り歩いてきたのが古市今日子さん(41)だ。

 将来は絶対に自分の能力一本で独立しよう──。決めたのは早かった。古市さんが地方の国立大学を卒業する前年、山一証券が破綻。大企業でさえ安泰ではないことを思い知った。就職戦線は氷河期に突入。唯一採用してくれたのは英会話学校のNOVAだった。

 経営企画室に配属され、そこで新規事業の立ち上げや経営計画づくりの面白さに目覚めた。「これが私の生きる道」。そう見定めて、ヤフー、外資系コンサルティングファームに転職しながらスキルを磨き、独立した。

 いま、古市さんは5歳の男の子を育てるシングルマザーだ。「フリーランスで大変でしょう」と気の毒がられることもあるが、無理な残業もなければマミートラックに陥ることもない。「これがベストの選択」と言い切る。

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