マキタスポーツ/1970年、山梨県生まれ。俳優、著述家、ミュージシャンなど多彩な顔を持つ。スポーツ用品店だった実家の屋号を芸名に。著書に『すべてのJ-POPはパクリである』『一億総ツッコミ時代』ほか。映画「苦役列車」でブルーリボン賞新人賞受賞
マキタスポーツ/1970年、山梨県生まれ。俳優、著述家、ミュージシャンなど多彩な顔を持つ。スポーツ用品店だった実家の屋号を芸名に。著書に『すべてのJ-POPはパクリである』『一億総ツッコミ時代』ほか。映画「苦役列車」でブルーリボン賞新人賞受賞
女性はどうして、ああも声を出すものなのか(※写真はイメージ)
女性はどうして、ああも声を出すものなのか(※写真はイメージ)

 お笑い芸人のマキタスポーツさんによる「AERA」の新連載「おぢ産おぢ消」。俳優やミュージシャンなどマルチな才能を発揮するマキタスポーツさんが、“おじさん視点”で世の中の物事を語ります。

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 女性はどうして、ああも声を出すものなのか。

 身の回りから調査してみる。

 我が家の家族構成は、女性3人、男性3人の合計6人。男3人のうち2人は3歳の幼児であり、この件のサンプルとしては相応しくなく、また、著しく可愛いので除外した。そして、女3人のうち妻は、ここでの書き方次第では私が著しく叱責を受けるのでこれも除外。

 然るに、今回の件に関しては(1)第二次性徴期女児と(2)後期中等反抗期間ギャルを観察した結果と認識されたい。

 (1)と(2)は始終「声を出して」いる。やれ「てか、セブチ超ヤバイ~!!」「てか、マジ、カワイイ死にでしょ! BTS!!」とか何をしゃべっているのかよく解らない。これプラス「きゃー!!」とか「ピャー!!」とか物凄い効果音が入る。そう言えばビートルズの昔のコンサート映像を見ると、嬌声を上げる女性が卒倒してしまうことがあった。あれはその当時の“流行(はや)りのスタイル”かと思っていたが、どうもそうでもないのではないか。娘2人を見ているとそんな気がしてならない。一つ考えられることは、「若さ」ゆえの行動か……しかし、この説は簡単に覆される。おばさんがそれだ。

 おばさんはとにかく喋る。

 世間を注意深く見ると、しきりに声をあげているのはおばさんである。特に2人以上になると凄い。あそこのお菓子が不味くなったとか、誰それが素敵だとか、誰それの顔が長くなったとか……そして合間に「きゃー!!」とか「ピャー!!」も入る。我が家と同じではないか。

 試しにおじさんも見てみる。と、声を出していないわけじゃないが、その内容が、仕事のことか、あるいは、酒を飲んだ勢いで声をあげている程度に留まる。仕事絡みのことで喋ったり、酔っ払ったり、どこか社会に縛られた感じが哀れだ。だいたい酒を飲んで声を出すのはフェアじゃない。おばさん達みたく意味のないことにシラフで声をあげるべきだ。昔、ロケ中に、散々ワーキャー騒がれ、最後に「会えてうれしかったわ~、名前教えて~」と言われたことがある。彼女は酔っていなかった。フェアである。

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マキタスポーツ/1970年、山梨県生まれ。俳優、著述家、ミュージシャンなど多彩な顔を持つ。子供4人。スポーツ用品店だった実家の屋号を芸名に。著書に『すべてのJ-POPはパクリである。』ほか。映画「苦役列車」でブルーリボン賞新人賞受賞。近刊に『越境芸人』(東京ニュース通信社)。『決定版 一億総ツッコミ時代』(講談社文庫)発売中。

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