瑛太:僕は撮影にあたって、神戸の連続児童殺傷事件を起こした彼の手記を読みました。もちろん、彼と映画の中の少年Aは別物ですし、起こした事件自体は全く肯定できません。でも、だからといって全否定してしまえば、どうしてあんな悲惨な事件が起きてしまったのか、動機や背景を知る手がかりも失われてしまう気がしたんです。

──瀬々監督には「僕が俳優だったらこの役は受けない」とまで言われたとか。

瑛太:いちばん意識したのは、鈴木を一人の「人間」として演じることですね。確かに普通の人間とは少し違う感覚やルールの中で動いている部分はあるかもしれませんが、生き物である以上、感情は必ずあると思う。それを過剰に見せたり、欠落して見せたり、いろいろ試しながら演じていました。あと、鈴木は自分が犯した罪を悔やみながらも「生きたい」と思ってるんですよ。たとえ元殺人犯でも、生きたいと思うこと自体は否定できない。すごく人間的ですよね。

──本作では、益田と鈴木の「友情」が大きな軸になっていますが、お二人にとって「友人」とは、どんな存在でしょう?

生田:自分の鏡のような存在ですかね。やっぱり同じような考えや価値観をもっている人と、共鳴し合って仲が深まることが多いので。逆に、過ごした時間の長さとか回数では、友情の深さは測れないと思います。

瑛太:僕は「肉体関係をもたない最高の恋人」ですね。ドキドキもするけど安心もするし、刺激を受けることも多いですし。

──登場人物は全員「人に言えない秘密」を抱えていますが、お互いに「今まで話していなかったこと」や「謝っておきたいこと」などは、ありますか?

生田:……何だろう、何かあるかな?

瑛太:ついこの前、僕が斗真をご飯に誘ったら断られたんですよ。「あ、嫌われてんのかな」って不安になりました(笑)。

生田:いやいや! 急だったんですよ、あのときは。誘われたのが取材の前日で、前もって予定が入っていたから。だから嫌いなわけじゃないよ!

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