首相官邸(手前)と国会議事堂。政局は、この一帯を舞台に大きく動きだそうとしている。写真は官邸の屋上でドローンが見つかった2015年4月に撮影 (c)朝日新聞社
首相官邸(手前)と国会議事堂。政局は、この一帯を舞台に大きく動きだそうとしている。写真は官邸の屋上でドローンが見つかった2015年4月に撮影 (c)朝日新聞社

 内閣支持率24.4%、不支持率62.4%。森友学園への国有地売却に絡む財務省の文書改竄問題で、佐川宣寿・前国税庁長官が証言拒否を繰り返した衆参両院の証人喚問から6日後。福島民報が報じた県民世論調査の結果に、安倍晋三首相(総裁)3選をもくろむ官邸の面々は首筋が寒くなったに違いない。東日本大震災による原子力発電所事故で、いまだに3万人以上が県外避難を余儀なくされ、くしくも佐川氏の出身地でもある福島県だ。たかが地方の反応とあなどることなかれ。

 同じ4月2日の読売新聞の調査では支持率は前回調査より6ポイント落とした42%、不支持率は8ポイント増えて50%と逆転した。そして、安倍首相が進めようとしている放送法4条の撤廃を含む放送法改正をめぐっては、民放各社だけでなくこれまで安倍政権寄りの論調が目立った読売新聞までが、社説で辛辣に批判している。

 放送法4条が放送局に求めているのは(1)公序良俗を害しないこと(2)政治的に公平であること(3)事実を曲げないこと(4)意見が対立する問題は多角的に論点を明らかにすること──という4点だ。首相はインターネットテレビに出演した経験から、「双方向でいろんな意見があり面白い。見ている人には地上波と全く同じなのに法体系が追いついていない」と発言。さらに2月1日の「未来投資会議」で「技術革新によって通信と放送の垣根がなくなる中で、周波数の割り当て方法や放送事業の大胆な見直しが必要」と述べ、放送制度改革の議論が始まり、同条の撤廃論が浮上した経緯がある。ある与党関係者はこう話す。

「首相は楽天の三木谷浩史会長兼社長とのラインでこの規制緩和を進めようとしているみたいだが、読売の主張のように、テレビ局とネットの垣根を取っ払って規制や制度を一本化することは無理がある。特に4条が撤廃されたら、最近問題が多発しているフェイクニュースの横行に拍車をかけることにもなりかねない。読売新聞グループ本社の渡邉恒雄代表取締役主筆は、安倍首相と会食した際にも真顔で怒ったと聞いています」

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