そこで同社の売れ筋となっているというのが、室内設置型シェルターだ。防爆、耐震効果のある鉄製の本体は、3.25畳以上の空き部屋があれば設置可能。イスラエル製のフィルター装置を標準装備して、核兵器だけでなく、化学兵器や生物兵器にも対応。有事以外は、酸素カプセルや書斎などとして活用できるという。

 この室内設置型シェルターを購入した、とあるご家庭で居心地を試させてもらった。こちらでは普段、中に大型テレビやクッションなどを置いて、シアタールームとして使用。頑強な扉を閉じると、耳がブーンとするほど密閉性があり、お父さんの秘密基地ふう書斎にも、ぴったりだと思う。

 有事の際は、扉を閉じてフィルター装置をセットするが、この装置は停電時もバッテリーで駆動するほか、ふいごのような器具を使って、人力で駆動させることもできる。これがけっこうな力仕事だが、シェルターは大人2~3人用。命がかかるとなれば、交代でがんばれる自信がある。ていうか、夫にやってもらおう。

 こちらお値段もまあまあ手頃な工事費込みの1千万円前後。ほかに、家の中に気密性のある部屋があれば、部屋をシェルター本体にしてフィルター装置のみを設置する商品も。これなら280万円(工事費は別途10万円前後)とお値打ちなうえ、設置工事も1日で済む。

 最後に、もっともお手軽なコース。特殊ビニールのテントに、同様のイスラエル製フィルター装置を備えた工事不要のテントタイプだ。もちろん爆風などにはすこぶる弱いが、空気中の放射性物質が減衰するまでの2週間を安全に過ごすのには、効果があるという。費用も320万円と現実的。ミサイルは忘れたころにやってくるかも。思い立ったら衝動買いができるのも、メリットです。(ライター・福光恵)

AERA 2018年3月19日号